JL-1 (ミサイル)

JL-1(巨浪1号)とは

JL-1（巨浪1号）は、中華人民共和国が開発した潜水艦発射弾道ミサイル（SLBM）であり、アメリカ国防総省からはCSS-N-3というコードネームで呼ばれています。このミサイルは、中国の核抑止力において重要な役割を果たしており、その開発は中国の戦略的な核兵器開発の歴史において重要な出来事でした。

開発の背景

中国は1964年に核実験を成功させ、核兵器の開発とともに、その運搬手段である弾道ミサイルの開発にも力を注ぎ始めました。1970年代には、液体燃料ロケットを用いたDF-3やDF-4といった弾道ミサイルを実用化しましたが、これらの後継として、より即応性に優れた固体燃料ロケットを用いた弾道ミサイルとして、JL-1とDF-21の開発が始まりました。JL-1は潜水艦発射型、DF-21は陸上発射型という位置づけです。

開発の経緯

JL-1/DF-21の開発検討は1967年から開始されましたが、本格的な開発は1970年代末に始まりました。最初の陸上発射試験は1982年4月30日に行われ、同年10月12日には、031型通常動力弾道ミサイル潜水艦からの水中発射試験にも成功しました。このミサイルの総設計者は黄緯禄氏、副設計主任は陳徳仁氏が務めました。ミサイルは南京晨光集団有限責任公司で組み立てられ、1986年には092型原子力潜水艦（夏級）の艦番号406に配備されました。

ミサイルの特徴

JL-1は二段式の固体燃料ロケットを採用しており、単弾頭のミサイルです。射程は約1,700kmで、中程度の射程を有しています。この射程のため、事実上、射程内にあるのは中国の近隣諸国のみとなります。JL-1は、092型原子力潜水艦（夏級）に12基搭載されていますが、夏級における運用は当初は順調とは言えませんでした。夏級からの発射試験が成功したのは、就役後数年を経た1988年のことでした。その後、1990年代には射程延長型であるJL-1Aが開発され、射程は2,500kmに延伸しました。

配備と運用

JL-1は当初、改造された031型通常動力弾道ミサイル潜水艦「長城200号」に搭載されました。その後、同艦は再び改造され、JL-2のような他のミサイルの試験にも使用され、複数回の発射試験に成功しています。

スペック

全長：10.7m
胴体直径：1.4m
重量：14.7t
弾頭重量：600kg
射程：1,700km(JL-1)、2,500km(JL-1A)

出典

Norris, Robert, Burrows, Andrew, Fieldhouse , Richard "Nuclear Weapons Databook, Volume V, British, French and Chinese Nuclear Weapons, San Francisco, Westview Press, 1994, ISBN 0-8133-1612-X
Lewis, John Wilson and Xue Litai, "China's Strategic Seapower: The Politics of Force Modernization in the Nuclear Age," Stanford, 1994.

関連項目

JL-2

外部リンク

* Globalsecurity

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