JOLED

JOLED株式会社の概要

設立と背景

JOLED株式会社は、2015年に設立された日本のディスプレイメーカーであり、主に有機ELディスプレイ（OLED）の研究、開発、生産を行っています。設立は、産業革新投資機構（JIC）の主導により、ソニーとパナソニックの有機EL開発部門を統合して行われました。この会社は、2007年にソニーが世界初の有機ELテレビを発売したことや、2013年にパナソニックが印刷方式の有機ELテレビを披露した技術を継承しています。

技術と製品

JOLEDは、独自の製造技術「RGB印刷方式」を採用し、廃棄物を減らしつつ生産コストを低く抑えることが可能です。この方式は、韓国のLGディスプレイが使用する「白色蒸着方式」や、サムスンディスプレイが使う「RGB蒸着方式」に比べて、材料利用効率や生産効率が高いとされています。2017年から、同社は月産2000枚のパイロットラインでの少量生産を開始し、特に中型サイズのOLED市場に着目しました。

市場展開と製品実績

2018年にはASUSのプロフェッショナルモニターに自社パネルが採用され、2019年にはEIZOのエンターテインメントモニターやトヨタのコンセプトカーLQに搭載されるなど、さまざまな市場への進出を果たしました。特に、JOLEDのディスプレイは、LGのプロフェッショナル用モニターでも評価を受けました。

2021年には、印刷方式のOLEDディスプレイ「OLEDIO」を発表し、大量生産を開始しました。しかし、大型有機ELディスプレイの市場での競争が激化し、特にサムスンやLGとの競争が厳しくなっていきました。

経営難と倒産

JOLEDは、2022年には生産能力の限界や高コストに直面し、資金繰りが悪化。最終的に、2023年3月に東京地方裁判所に民事再生手続きを申請し、負債総額337億円を抱える事態となりました。技術や知的財産は、ジャパンディスプレイ（JDI）に継承され、JOLEDの多くの事業所が閉鎖されることとなりました。

倒産後の状況

倒産後、JOLEDの従業員の一部はJDIが引き取ったものの、その他の多くは退職を余儀なくされました。JOLEDが開発していた印刷方式のOLED技術もJDIに引き継がれる一方で、JDIは従来の技術でなく新たな「eLEAP」という次世代技術に集中する方針を打ち出しました。これにより、JOLEDで育んできた印刷方式の開発は行わないことが決まりました。

まとめ

JOLEDの歴史は、技術革新とビジネスチャンスを追い求めての挑戦の連続でしたが、競争の厳しさや資金不足が影響し、最終的には事業縮小を余儀なくされました。新たな技術を期待する一方で、過去の成功を踏まえた市場戦略の重要性が再認識されています。

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