JPEG XR

JPEG XRについて

JPEG XR（ジェイペグ エックスアール）は、デジタル画像を扱うための先進的なフォーマットの一つです。この規格は、2009年6月19日にISO/IECから最終承認を受け、「ISO/IEC 29199-2:2009」として国際的に認められました。JPEG XRは、元々は2006年に米マイクロソフトによって発表されたWindows Media Photo、その後のHD Photoに基づいています。

主な特徴

JPEG XRの一つの大きな特徴は、圧縮効率が高く、可逆圧縮と不可逆圧縮の両方に対応している点です。これにより、画像データを保存する際に多くの空間を節約しながら、品質を保つことができます。また、ハイダイナミックレンジ（HDR）、アルファチャンネル及びCMYKカラーモデルのサポートも特徴として挙げられます。このため、JPEG XRはプロフェッショナルな写真撮影や印刷業界での需要にも応えられる高機能なフォーマットとされています。さらに、ICCプロファイルやExif、XMPなどのメタデータを扱える点も強みです。

JPEG規格との関係

JPEG XRは、JPEGフォーマットの限界を克服するために開発されました。従来のJPEGフォーマットは、8ビット（256階調）までの色情報しか扱えず、特に高性能なデジタルカメラで撮影した画像を保存する際には不十分でした。デジタルカメラの高性能化に伴い、12ビット以上の情報を持つRAW画像形式が好まれるようになりましたが、そのサイズの大きさが課題となっていました。このような問題を解決するために、JPEG XRが開発されたのです。

JPEG XRは、RAW形式に替わる新たな選択肢として、JPEG形式より大きなダイナミックレンジを提供します。マイクロソフトはJPEG XRが国際規格として認められれば、その使用に対してロイヤリティーを無料にすると発表しました。また、特許の主張をしない「Community Promise」が導入され、開発者や企業は自由に利用できる環境が整えられました。

歴史

JPEG XRの歴史は、2006年5月に米マイクロソフトが「Windows Media Photo」を発表したことから始まります。その後名称を「HD Photo」に改名し、同年にWindows Vistaへの標準搭載が決まりました。2007年には国際標準化機関に提案され、2009年に正式にJPEG XRとして認可されました。

その後、2013年にはオープンソースライブラリ「jxrlib」が公開され、JPEG XRの利用促進が図られました。

技術概要

JPEG XRは、デジタルカメラによって生成されたRAW画像データを特定の手続きを経て保存します。この過程において、色空間変換、重複双直交変換、量子化処理などの高度な技術が用いられています。復号処理においては、記憶領域に保管されたJPEG XRコードストリームを基に画像を復元します。

他の画像フォーマットと比較すると、JPEG XRはJPEGに比べて高圧縮を実現可能ですが、JPEG 2000と比較してもその技術的な新しさは目立たないという意見もあります。JPEG 2000は高圧縮ができるものの、ハードウェアリソースの要求が多く、実際のデジタルカメラでの採用が進まなかったことが影響しています。

デジタルカメラでの採用

JPEG XRは、特にMicrosoft Windowsでのサポートが中心であり、AppleはJPEGの代わりにHEIFを選択しています。そのため、デジタルカメラでのJPEG XRの普及には困難が伴います。特に高級一眼レフカメラではJPEG XRの利用が望まれていますが、それを支える技術的な要求も高くなっています。

Motion JPEG XR

JPEG XRは静止画だけでなく、各フレームにJPEG XRを組み込んだ動画圧縮形式「Motion JPEG XR」も含んでいます。この形式は、動画の圧縮においても高い効率を誇ります。

対応ソフトウェア

JPEG XRはさまざまなソフトウェアでサポートされています。主なものとして、Microsoftの製品やAdobeのPhotoshop、GIMP、IrfanViewなどがあります。これにより、JPEG XRフォーマットの画像を表示・編集するための環境が整っています。

JPEG XRは画像フォーマットの新しい選択肢を提供し、デジタルカメラの性能向上に貢献することが期待されています。

もう一度検索