JR九州787系電車

787系電車概要

787系電車は、九州旅客鉄道（JR九州）が運行する特急列車専用の交流電車として設計され、1992年7月15日から運行を開始しました。この車両は、主に鹿児島本線の特急「有明」に用いられ、愛称「つばめ」が付けられたことから、その名称にふさわしいデザインと機能が追求されました。

開発の背景

787系の開発においては、811系の技術を基にしつつ、実際の運行における利便性と効率性を最大化するため、多くの工夫が凝らされました。デザインは水戸岡鋭治氏が手がけ、そのスタイリッシュさと機能的なデザインは高く評価されています。907両が製造され、特急形車両としては初めて100両以上の製造数を誇りました。また、1993年には鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞、さらに1994年にはブルネル賞を受賞するなど、その性能とデザインは広く認められています。

特徴

車体

787系は通常鋼製の車体で、腐食に対する耐久性を考慮して屋根上などにはステンレス鋼が使用されています。また、乗降扉の幅は783系よりも拡大され、900mmとなっており、バリアフリー対応に配慮した設計です。

内装

内部はダークグレーの化粧板が施され、床はカーペットで覆われています。グリーン車と普通車両ともにリクライニングシートが設置されており、特にグリーン車の座席は2+1列配置とされており、リクライニング可能なシートが大きな特徴です。また、787系では、日本の鉄道車両として初めて真空式トイレユニットが採用されています。これは航空機での使用が一般的であったシステムを鉄道車両に取り入れるという新しい試みでした。

機器類

787系に採用されている台車はDT400K（電動台車）及びTR400K（付随台車）です。制御装置はサイリスタ位相制御と発電ブレーキを併用した電気指令式ブレーキが組み合わされています。これにより、高速運行時の安定性が確保されています。

運転台

運転台は必要な機器が集約され、運転士の負担を軽減するための支援モニタが初めて搭載されました。これにより、運転中の情報取得や駅の接近予告が容易になり、運転の精度が向上しています。

改造と運用

787系はその後、運用の変化に伴い様々な改造が行われています。特に2004年からは、「リレーつばめ」に転用されるなど柔軟な運用が可能な車両へと進化してきました。また、近年では「36ぷらす3」としても改造され、特別な運用も開始されています。利便性と快適性を両立した旅客輸送車両として、787系はこれからも多くの利用者に親しまれることでしょう。

現在の運用状況

現在、787系は様々な特急や観光列車で利用されているほか、九州の鉄道ネットワークの重要な役割を果たしています。その設計思想や技術的革新は、これからの鉄道車両にも多くの影響を与えていくことでしょう。

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