JR東日本キヤE991形気動車

キヤE991形気動車

キヤE991形気動車は、東日本旅客鉄道（JR東日本）と鉄道総合技術研究所（JR総研）が共同で開発した試験用鉄道車両です。これまでに見られなかった革新的な「ハイブリッド気動車」として試験を行ったこの車両は、一両のみが製作され、営業運転には使用されることはありませんでした。その名は「New Energy Train」を象徴する「NEトレイン」として親しまれています。

コンセプトとデザイン

キヤE991形の開発コンセプトは、「環境との調和」と「電車技術への転換」に基づいています。具体的には、省エネルギーや排出ガスの削減、さらに騒音の低減を目指して設計されています。車両のデザインは、赤と緑のカラーリングで、赤は太陽、緑は地球を表現しています。また、デザインされたロゴマークはエネルギー源である太陽と地球を象徴しています。

ハイブリッド気動車としての特徴

キヤE991形は2003年から2005年の間、シリーズ方式のハイブリッド気動車としての運用試験が行われました。その後、2007から2008年には燃料電池ハイブリッド車両としての試験が続き、2009年から2012年にかけては蓄電池電車に改造されました。

車両の構造は、E127系100番台を基にしたもので、ステンレス製の単行運転が可能な両運転台車です。運転台は効率性を考慮し、左手操作形のワンハンドルマスコンが採用されています。車内はロングシートが配置され、一部は機器室として使用されています。

台車部分には、E231系荷機から発展したDT61形/TR246形の軽量ボルスタレス方式の空気バネ台車が採用されており、耐寒耐雪構造を強化するスノープラウも設けられています。

多様な試験の展開

キヤE991形は、発進や加速、登坂時には電力をバッテリーと発電機から併せて取り出して利用し、減速時には回生ブレーキで得たエネルギーをバッテリーに充電します。このようなシステムにより、エンジンの負荷を軽減し、更なる省エネルギーを達成しました。さらに、主要な電機品は日立製作所製で、E231系と共通部品が多く使用されています。

燃料電池ハイブリッド車両への改造では、2006年に水素燃料を使用したシステムに変更され、固体高分子形燃料電池と高圧水素タンクを設置しました。これにより、さらなる環境負荷の軽減が図られました。しかしながら、2008年にはコストや技術的な課題により開発は一時中断されました。

蓄電池駆動システムの試験と結果

2009年から2012年には、また新たに「蓄電池駆動電車システム」として改造され《NE Train スマート電池くん》として呼ばれました。蓄電池駆動車両は、電化区間で走行しながら充電し、非電化区間ではその充電力を利用するという形態をとっています。この成果は後の量産車両であるEV-E301系に生かされ、実用化に結びついています。

キヤE991形気動車は、多くの環境に優しい技術の試験に貢献し、今後の鉄道車両への新たな技術適応の道を開きました。これにより、JR東日本は持続可能な鉄道技術の発展において重要な役割を果たしています。

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