JR東日本E351系電車

E351系電車について

E351系電車は、東日本旅客鉄道（JR東日本）が保有していた直流特急形の車両です。この車両は、主に中央本線の特急・急行列車の運用に使われ、183系及び189系電車の置き換えや、高速運行の向上を目的として開発されました。

概要

E351系は、並行する中央高速バスに対抗するため、JR東日本では初めて制御付き自然振り子装置を導入しました。この装置により、特に曲線区間での走行速度の向上が図られました。「スーパーあずさ」の名の下、全ての列車がこの形式で運行されており、最高時速は130km/h。新宿と松本間の最速列車は、わずか2時間25分での移動を実現しましたが、山岳路線における表定速度は90km/hを超えています。

製造は日本車輌製造と日立製作所が手がけ、全体で60両、5編成の構成です。しかし、2001年に登場したE257系にその役割を譲ることになりました。このことから、E351系は特急「おあずさ」と「かいじ」の運用から外れました。なお、JR東日本の新製車両には「E」という記号が付与されることになり、これは「EAST」を示しています。

デザインと構造

E351系のデザインは剣持デザイン研究所によるもので、1994年には経済産業省のグッドデザイン賞に選ばれるほどの評価を受けました。特に車体は普通鋼製で、振り子装置が作動した際に制限を超えないように設計されています。

内装は車両の上部が絞られ、設置する座席の高さも一般の車両より低くなっています。普通車両の座席配置は2＋2列で、リクライニング機能搭載の970mmシートピッチが特徴です。グリーン車はより広めのシートピッチを確保し、快適さを高めています。さらに、車内にはLED式の車内案内表示器が設置され、利用者の利便性も配慮されています。

機器類と運転

E351系電車の駆動系はVVVFインバータ装置を搭載し、1両あたり定格150kWの三相誘導電動機が4基装備されています。これにより効率的な運行が可能となります。制御装置の設計は寒冷地仕様で、耐雪耐寒対策が施されているのが特徴です。振り子装置はコンピュータ制御により、最大で約5度の傾斜を実現し、曲線での走行をスムーズに行えるようになっています。

当初、E351系は1993年の臨時「あずさ」として営業を開始し、1994年からは「スーパーあずさ」に投入されました。一時は幅広い運用が行われましたが、2018年には全列車がE353系に統一され、ついにサービスを終了しました。

終焉

2018年4月7日、最後の運行イベント「ありがとうE351系 松本〜新宿ラストランの旅」をもって、E351系はその役割を全うしました。その後、全車両は解体され、現存はしませんが、その運行歴は多くの鉄道ファンの記憶に留まっています。

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