JR貨物ED500形電気機関車

ED500形電気機関車：幻の試作機

ED500形電気機関車は、かつて日本貨物[[鉄道]]（JR貨物）が試験的に導入した交流直流両用電気機関車です。1992年に日立製作所水戸工場で製造された試作機で、仮称「ED-X」として誕生しました。

開発の背景

当時、JR貨物では、日本海縦貫線や東北本線・津軽海峡線などでの貨物輸送力増強のため、新型の交流直流両用機関車の導入を検討していました。EF500形が先行して運用試験を行っていましたが、これらの路線では輸送量に対してEF500形の出力が過大になることが懸念されていました。そこで、ED75形重連と同等の出力を持ち、より効率的な運用が可能な機関車として、日立製作所が提案したのがED500形でした。

車両の構造と特徴

ED500形は、4軸駆動のD形機関車として設計されました。車体デザインはEF200形を小型化したもので、ブラック系メタリックの塗装が特徴的です。運転室の扉は赤色で、床下機器は黒色で統一されています。前照灯と標識灯は正面下部に丸型で配置されています。

制御方式には、EF200形と同様のGTOサイリスタVVVFインバータが採用され、1台のインバータで1基のモーターを制御する1C1M方式となっています。台車は、EF200形のFD3形台車とほぼ同一のボルスタレス台車が使用されました。パンタグラフはシングルアーム式で、関節部が車体中央側を向くように搭載されています。

試験運用とその後

1992年にED500-901としてJR貨物に貸し出され、車籍編入されました。1994年末頃まで試験運用が行われましたが、動輪上重量の軽さから空転が頻発し、所定の性能を発揮することが難しいと判断されました。このため、量産化は見送られ、試作機は除籍・返却されました。

返却後、ED500形は日立製作所水戸工場で保管されていましたが、その後解体されました。現在、台車のみが同工場内で保存・展示されています。なお、日立製作所は本形式を最後に電気機関車の製造から撤退しています。

後継機

ED500形が目指した東北本線・津軽海峡線向けには、ほぼ同等の出力を持つEH500形が、日本海縦貫線向けにはやや出力の小さいEF510形が量産されています。ED500形の開発で得られた技術は、これらの後継機に活かされています。

参考文献

交友社『鉄道ファン』1992年11月号 No.379 pp.51 - 53
日立製作所『日立評論』1994年5月号「高性能・交直両用4軸インバータ制御電気機関車 (PDF) 」

関連項目

JR貨物の車両形式
JR貨物EF200形[[電気機関車]]
JR貨物EF500形電気機関車
JR貨物EF510形[[電気機関車]]
* JR貨物EH500形[[電気機関車]]

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