Ju 322 (航空機)

ユンカース Ju 322 マムート

ユンカース Ju 322 マムートは、第二次世界大戦中にドイツ空軍のために設計された輸送グライダーです。その名はドイツ語で「マンモス」を意味し、その巨大なサイズを象徴しています。しかし、性能の著しい不足が原因で、試作機がわずか2機しか製造されないという結果に終わりました。

開発の背景

1940年10月中旬、ドイツ航空省は大型の輸送グライダーの仕様をメッサーシュミット社とユンカース社に示しました。この仕様は、100名の兵員やIV号戦車、または自走砲1台を搭載できるものでした。また、砲兵を支援するための装備も必要とされていました。この要求に応じて、メッサーシュミット社には鋼管骨組の機体、ユンカース社には全木製構造の機体の設計が求められました。ただし、時間は限られており、わずか2週間後には設計案の提出を要求されました。ユンカース社は、初めての全木製機体設計に悪戦苦闘する中で、何とか期限に間に合わせて設計案を提出しました。

機体の設計

Ju 322の機体は、非常に大きな主翼を持ち、全翼機に近い形状をしています。主翼の前端には大型の貨物扉が配置され、その近くには銃座が設けられています。また、操縦席は貨物の邪魔とならないように胴体の中央左寄りに位置しています。着陸時には胴体下部の橇が機体を支え、転覆を防ぐための車輪も装備されています。

製造と問題

試作段階から量産へと進んだJu 322ですが、試作機の強度不足が明らかになりました。主翼の強度試験では、期待される荷重の半分で破壊されるという結果が出ました。また、搭載されるはずのIV号戦車を機体に搭載したところ、機体が床を踏み抜いてしまう事態に直面しました。この問題に対処して機体の強化を行いましたが、結果的に重量は増加し、ペイロードは減少しました。

さらに、木製機の製造に不慣れであったことから、量産にも支障をきたしました。30機分の部材を製造する段階で接着不良や木材の腐朽が問題となり、設計上も混乱が生じました。最終的には設計の変更を重ね、ある程度の改善が見られましたが、性能は依然として期待外れでした。

初飛行とその後

1941年に入ってJu 322 V1は初めての飛行を迎えましたが、曳航を担ったJu 90との組み合わせは安定性に欠けるものでした。初飛行後、機体は改良作業に入るものの、飛行性能はメッサーシュミットMe 321には劣りました。加えて、戦局の悪化により必要な資材の調達も難しくなり、最終的にドイツ航空省はJu 322の開発中止を命じました。

開発が行われたJu 322 V1や、98%まで完成した2機目のV2、製造中の部材は全て解体され、残念ながら他の用途に転用されました。

主要スペック

• - 機体名: Ju 322 V1
• - 全長: 30.25 m
• - 全幅: 62 m
• - ペイロード: 11,000 kg
• - 滑空率: 1：50
• - 武装: 7.92 mm機関銃 ×3

関連項目

• - メッサーシュミット Me 321
• - ゼネラル・エアクラフト ハミルカー

出典

• - Kay, A.L. and Smith, J.R. German Aircraft of World War II. Naval Institute Press, 2002.
• - 岡部ださく『世界の駄っ作機 7』 大日本絵画 2014年 ISBN 4-499-23129-9 P.46-49

もう一度検索