K11複合型小銃

K11複合型小銃：韓国軍の未来型小銃とその悲劇

韓国国防科学研究所(ADD)が開発したK11複合型小銃は、5.56mmアサルトライフルと20mm擲弾発射器を一体化した野心的な兵器でした。アメリカ軍のOICW計画に着想を得て開発されたK11は、2008年に韓国軍への配備が決定し、量産化が開始されました。しかし、その期待とは裏腹に、K11は数々の欠陥や事故に見舞われ、わずか914丁の配備で実戦配備は中止となりました。本記事では、K11の開発から配備中止に至るまでの経緯を、その技術的な特徴や問題点を含め、詳細に解説します。

開発の経緯と技術

1998年以降、韓国軍はOICW計画が将来の歩兵戦闘における主流となると予測し、K11の開発に着手しました。8年の歳月を経て、2008年に試作型の「XK11」が公開され、同年6月に正式採用されました。S&T大宇社が製造を担当し、1挺あたりの価格は1600万ウォン台とされています。

K11最大の特徴は、上部に搭載された20mm炸裂弾ランチャーです。レーザー距離測定器とマイクロプロセッサを用いて、目標までの距離を正確に測定し、弾頭の信管を制御することで、目標上空で炸裂弾を正確に起爆させることができます。これは、遮蔽物に隠れた敵への攻撃に非常に有効な機能でした。

銃身には軽量化のためスカンジウム-アルミニウム合金が使用され、下部の5.56mmアサルトライフルモジュールはガスピストン方式、上部の20mmランチャーモジュールはブルパップ方式を採用しています。一つの引き金で小銃とグレネードランチャーを切り替えることができ、発射モードは単発、連射、榴弾の3種類が用意されていました。ただし、モジュールは一体型であり、拡張性はありませんでした。重量は未装填状態で6.1kgです。

設計上の問題点と事故

K11は開発段階から故障や不具合が頻発していました。配備初期には、配備された80挺のうち66％が不良品だったとされています。

配備後も問題は収まらず、2010年には不良率が47.5％に達し、軍への供給が中断されました。その後も、射撃統制装置の亀裂、電磁波干渉による誤動作、信管の爆発事故などが発生し、2012年には配備済みの小銃が全量リコールされました。さらに、2014年には試験射撃中に信管が爆発し、関係者が負傷する事故も発生しています。2015年には、射撃統制装置の耐久性試験で亀裂が発見され、大量の弾薬の廃棄が必要となる事態に発展しました。また、部品メーカーによる試験データの改ざんも発覚しました。2019年には、リチウム電池の爆発の可能性も報告されました。

これらの問題により、K11は2019年12月、事業が正式に終了することが決定されました。わずか914丁の配備で終わるという、韓国軍にとって大きな損失となりました。

K11の教訓

K11の開発と配備中止は、韓国国防産業における技術力と品質管理体制の課題を浮き彫りにしました。高度な技術を採用した兵器の開発には、綿密なテストと品質管理が不可欠であり、その重要性を再認識させる結果となりました。また、K11の事例は、高価な兵器システムの開発と配備におけるリスク管理の重要性も示唆しています。

今後の展望

K11の失敗は、韓国軍の歩兵戦闘システムの近代化戦略に大きな影を落としました。K11の後継となる兵器の開発は、過去の教訓を踏まえ、より慎重に進められることが期待されます。

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