KAGRA

KAGRA (かぐら) - 日本の重力波望遠鏡

KAGRA（Kamioka Gravitational wave detector, Large-scale Cryogenic Gravitational wave Telescope）は、日本の岐阜県飛騨市の神岡町に位置する重力波望遠鏡です。知られざる宇宙の現象を探求するために、地下の神岡鉱山に建設され、アメリカのLIGOや欧州のVirgoと同様に、基線長3kmのレーザー干渉計を用いた重力波の検出を行っています。

KAGRAは、その名称が神岡町の「KA」と「重力波」を意味する「GRA」の二つを結び付けて作られたものであり、2010年から始まったプロジェクトです。文部科学省の「最先端研究基盤事業」に選ばれ、東京大学宇宙線研究所、高エネルギー加速器研究機構、自然科学研究機構国立天文台の共同で進められてきました。構想から約9年を経て、2019年秋に完成し、その後の調整を経て2020年2月25日に観測を開始しました。

重力波の観測

重力波は、アルベルト・アインシュタインの一般相対性理論に基づいて予測された現象で、宇宙の出来事によって発生する時空の揺らぎです。KAGRAは、レーザー干渉計を使用してこれを観測し、遠くの宇宙での中性子星同士の衝突などによって生じる微弱な重力波を捉えるために設計されています。
日本では1999年にTAMA300が運用開始されましたが、これは銀河内の限定された現象にしか感度を持っていませんでした。そのため、KAGRAのように高感度で広範囲を観測できる装置が求められました。

KAGRAは、地下という環境を活かし、地面からの振動やノイズを最小化。鏡を約-253℃に冷却し、サファイアを使用した反射鏡を採用することで、より精度の高い観測が可能となっています。これにより、無数の宇宙の出来事を観測し、その情報を集めることが期待されています。

プロジェクトの概要

KAGRAプロジェクトは、2010年6月に正式に始動し、2012年からトンネルの建設が着工されました。2014年には掘削が完了し、様々な機材の搬入が続きました。2019年4月には全ての機材が揃い、同年10月には完成式典が行われ、正式に観測を開始しました。2020年にはGEO600との共同観測も行い、重要なデータを蓄積しています。

今後、KAGRAは、他の重力波望遠鏡と連携し、さまざまな宇宙現象への理解を深める役割を果たすことが期待されています。2024年には地震の影響によって一時運転が遅れることが予想されていますが、引き続き進化を遂げていくことでしょう。

他の重力波望遠鏡

KAGRAの他にも、世界にはさまざまな重力波観測装置が存在します。例えば、アメリカのLIGO、フランス・イタリアのVirgo、英国・ドイツのGEO600、日本のTAMA300などがあります。それぞれの施設が協力し合って、宇宙の神秘を解き明かす重要なデータを収集しているのです。

KAGRAは、日本における重力波研究の最前線となり、宇宙の理解を推進する重要なステーションとなります。

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