KAMIKAZE TAXI

KAMIKAZE TAXI

『KAMIKAZE TAXI』（かみかぜたくしー）は、1995年に公開された日本のクライムサスペンス映画。監督と脚本は原田眞人が手がけました。本作は、まずオリジナル・ビデオとして185分のロングバージョンが制作され、その後、一般劇場向けに169分に再編集されたものが公開されました。さらに、海外向けに140分のインターナショナル・バージョンも存在します。

あらすじ

物語の中心となるのは、暴力団「亜仁丸組」に属するチンピラの達男です。彼は悪徳政治家である土門の求めに応じ、自身の恋人であるレンコと友人のタマを差し出しますが、これが悲劇の始まりとなります。タマは重傷を負わされ、レンコは組のボスである亜仁丸によって殺されてしまうのです。愛する者を奪われた達男は激しい怒りに震え、土門と亜仁丸への復讐を誓います。

達男は仲間とともに土門の邸宅に忍び込み、金品を強奪しますが、その計画は亜仁丸に露見します。仲間たちは殺され、達男は一人追われる身となります。絶体絶命の状況の中、彼は偶然乗り込んだ一台のタクシー運転手、寒竹一将と出会います。寒竹はペルーからの帰国者で、現在は日本でタクシーのハンドルを握っていました。

次に亜仁丸を標的とした達男は、東京にある組の事務所を襲撃しますが、亜仁丸は不在で計画は失敗に終わります。しかし、その場に偶然居合わせたタマを連れ出すことに成功し、三人は寒竹の運転するタクシーで再び逃走を図ります。たどり着いた温泉地で、達男とタマは寒竹から、彼の壮絶な過去を聞かされます。

寒竹の父は元特攻隊員であり医師でしたが、子ども時代の寒竹を連れて移住したペルーで、治安の悪化によりゲリラ組織に殺害されていました。父の仇を討つため反ゲリラ組織に身を投じた寒竹でしたが、結局復讐を果たすことはできず、祖国日本へ出稼ぎという形で戻ってきたのです。復讐に燃える達男と、復讐を諦め自らを「根なし草」と称する寒竹。対照的ながらも、それぞれの過去と復讐への思いが、複雑に絡み合い始めます。

追われる達男を寒竹は幾度となく助けますが、達男は遂に亜仁丸を狙って命を落としてしまいます。達男の死後、残された寒竹は彼が遺した金を受け取り、一度はペルーへ帰国することを決意します。しかし、自らの果たせなかった復讐と、達男の無念な最期を重ね合わせた寒竹は、自らが達男の仇討ちを果たすことを決意します。そして、土門と亜仁丸、二人の命を奪い、達男の無念を晴らすのでした。

キャスト

寒竹一将: 役所広司
ペルーからの帰国者でタクシー運転手。追われる達男を助ける中で、自身の過去と向き合うこととなる。
達男: 高橋和也
亜仁丸組のチンピラ。恋人を殺され、政治家と組への復讐を誓う。
タマ: 片岡礼子
達男によって土門のもとに送られ、重傷を負う。
亜仁丸: ミッキー・カーチス
達男が所属する亜仁丸組のボス。
土門: 内藤武敏
達男が復讐を誓う悪徳政治家。
レンコ: 中上ちか
達男の恋人。亜仁丸によって殺害される。
石田: 矢島健一
チャップリンの物まね芸人: 田口トモロヲ
土門のSP: シーザー武志

スタッフ

監督・脚本: 原田眞人
製作: 田中迪
プロデューサー: 吉田就彦、南條昭夫、茂庭喜徳、岡田和則
撮影: 阪本善尚
照明: 椎原教貴
録音: 米山靖
美術: 丸山裕司
音楽: 川崎真弘
編集: 阿部浩英

評価

本作は公開当時、高い評価を受けました。

1995年 キネマ旬報ベスト・テン 8位
『キネマ旬報』1990年代日本映画ベスト・テン 12位
第15回ヨコハマ映画祭 最優秀新人賞（片岡礼子）
キネマ旬報助演男優賞（ミッキー・カーチス）

外部リンク

* KAMIKAZE TAXI - allcinema

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