KIKU

KIKU（仮想チャンネル20・UHFデジタルチャンネル19）

KIKUは、アメリカ合衆国ハワイ州ホノルルに認可された、ハワイ諸島を対象とする多文化の独立テレビ局です。ロサンゼルスに拠点を置くエンターテインメント・スタジオズの子会社であるアレン・メディア・ブロードキャスティングが所有しており、ABC系列のKITV（チャンネル4）と複占関係にあります。スタジオはホノルルのダウンタウン、送信所はナナクリに位置しています。

歴史

ハワイにおける日本語放送の黎明期

ハワイには明治時代以降、多くの日本人が移住し、大きなコミュニティを形成しました。1960年の国勢調査では、ホノルル近郊の人口35万人のうち、日系人が12万人を占め、最大のエスニックグループとなっていました。当時、日本語を話す一世・二世が多く、日系コミュニティにとって日本語メディアは不可欠な存在でした。1954年に日本航空のホノルル便が就航して以降、日本人渡航者が増加し、観光業界からのスポンサーシップも期待されました。

日本語メディアとしては、19世紀末から日本語新聞が発行され、1929年にはラジオで日本語番組が放送されていましたが、1960年にラジオ局KOHOが初の全日日本語放送を開始し、1963年にはKZOOがこれに続きました。テレビにおいても日本語番組が求められるようになり、1952年12月21日にテレビ局KGMB-TVで初の日本語番組が放送されました。その後、KONA（現在のKHON）、KULA（現在のKITV）など、各局でも週に2時間程度の定期的な日本語放送が行われるようになりました。

旧KIKU（現在のKHNL）の変遷

「40年以上」と宣伝されていますが、「KIKU」のコールサインを使用した局は歴史上二つ存在します。どちらもハワイを放送エリアとし、日本語放送を行ってきたテレビ局ですが、現在の「KIKU」とVHFチャンネル13を使用したかつての「KIKU」は別の法人です。

旧KIKUは、ワトゥムル・ブロードキャスティング・カンパニーの所有の下、1962年 7月4日に独立局KTRG-TVとして開局しました。その後、リチャード・イートンが経営難のKTRG-TVを買収し、フレンドリー・ブロードキャスティング・カンパニーを設立して経営再建を図りました。1966年には、フーヴァー立石がフレンドリー社に参画し、日本語放送の強化に尽力しました。

FCC（連邦通信委員会）は、放送免許の移行に際し、市場調査の妥当性、コミュニティのニーズ、管理能力について審査を行いました。ジョンソン委員からは、外国語放送による国家の分裂を懸念する意見も出されました。立石は番組調達のため日本に渡り、東京や大阪のテレビ局と交渉し、定期的な日本語番組の放映を開始しました。番組には、日本からの番組だけでなく、独自制作の日本語講座や地域番組、女性向け番組も含まれていました。

聴聞会では、立石やハワイ大学のジョン・ヤング博士らがハワイにおける日本語放送の必要性を主張し、審査委員会は放送免許の移管を認可しました。1966年にKTRG-TVは売却され、コールサインをKIKUに変更し、1967年11月3日に初放送を行いました。初代ゼネラルマネージャーには立石が就任しました。当初は設備が不十分で映像が途切れることもありましたが、立石や2代目ゼネラルマネージャーのジョアン二宮らの努力により、徐々に人気を集めました。特にジョアンの時代劇や子供番組路線は好評を博しました。

1979年 4月9日、ミッドパシフィック・テレビジョン・アソシエイツがチャンネル13を買収し、日本の番組は簡素化され、ゴールデンタイムに移動しました。その後、『kid vid』形式に切り替え、『ザ・チルドレンズ・アワー』などの番組で成功を収めましたが、日本の番組は1981年までに完全に廃止されました。

1984年、KIKUのコールサインはKHNLに変更されました。1986年にはキング・ブロードキャスティング・カンパニーに売却され、同年、チャンネル13はFOXネットワークの系列局となりました。しかし、KHNLは相撲などのアジアの番組コンテンツを放送し続けました。1996年 1月1日、KHNLはKHON（チャンネル2）との放送局交換により、NBC系列となりました。

KIKU（チャンネル20）の歴史

チャンネル20の歴史は、1980年2月12日にFCCにライセンスが提出され、コールサインKHAI-TVとして登録されたことに遡ります。1983年 12月30日に放送を開始し、当初は夕方にアジアの番組を放送していました。1989年にロサンゼルスの多文化放送局KSCIの所有者に売却され、1993年 9月4日にコールサインをKIKUに変更しました。

2004年 11月1日、KIKUはUPNとの二次提携を開始し、ホノルル市場で4番目で最後のUPN系列となりました。2006年 9月17日にUPNが閉局した後、KIKUはフルタイムの独立局に戻りました。2006年 9月18日にはFUNimation Channelのアフィリエイトとなり、アニメ番組を放送しましたが、視聴者数が少なかったため、2007年9月に提携を解消しました。

2012年1月、当時の所有者であるアジアンメディア・グループは破産を申請し、同年3月にNRJ TVに売却されました。同年5月、KIKUは英語のエンターテインメント番組を廃止し、アジアの番組に注力しました。

2019年 12月9日、WRNN-TVアソシエイツがKIKUを買収する契約を締結し、2020年 2月4日に完了しました。2021年5月、ShopHQの放送を開始すると発表し、番組の方向転換に長年のゼネラルマネージャーが異議を唱え、退任しました。

2021年9月27日、KIKUがアレン・メディア・ブロードキャスティングに売却されることが発表され、2022年 1月31日に完了しました。

デジタルテレビへの移行

KIKUは、2009年 1月15日にアナログ放送を終了し、デジタル放送に移行しました。

番組編成

ShopHQに切り替える前は、KIKUの番組編成は、ハワイ諸島のアジアコミュニティに対応する多文化コンテンツで構成されていました。日本語、タガログ語、英語で放送され、日本の主要なテレビ局からライセンス供与されたコンテンツが人気でした。フィリピンの番組は、GMAネットワークなどからのものでした。2011年には中国の番組も追加されました。

KIKUは様々な企業と提携して、日本語番組に英語字幕を提供しました。2021年6月28日以降、フィリピンと日本のテレビコンテンツの放送を停止し、代わりにShopHQの系列局となりました。これに対し、ハワイ州選出の上院議員がFCCに書簡を送付し、多文化番組の必要性を訴えました。

2022年 1月31日より、日本とフィリピンの番組の放送が復活し、KITVからのローカルニュースも放送しています。

主な日本語番組

- 大河ドラマ
- NHK紅白歌合戦
- 土曜ワイド劇場
- 相棒
- 花嫁のれん
- そこが知りたい / 美しい日本に出会う旅
- 秘密のケンミンショー
- FCI News Catch!

コギク

『コギク』は、KIKUの元スタッフである藤井日出男と鈴木瑞枝夫妻によって創刊されたテレビ雑誌で、KIKUの番組情報や視聴者の参加の場を提供し、日本語の教材としても活用されました。日本の芸能情報が得られる貴重な情報源でもありました。