KLMオランダ航空867便エンジン停止事故

KLMオランダ航空867便エンジン停止事故に関する詳細

1989年12月15日、KLMオランダ航空の867便（ボーイング747-406M）がアムステルダムから東京に向かう途中、アラスカ州上空で火山灰を含む雲の中に突入しました。この時、搭乗していた航空機は導入からわずか6ヶ月の新造機でありましたが、厳しい状況に遭遇しました。

事故当時、867便はリダウト山が前日に噴火し、その影響で発生した火山灰による濃密な雲の中を飛行していました。飛行中、機体の4基のエンジンが出力を失い、約10-15秒後には全てのエンジンが停止。すぐに電力がバックアップシステムのみに頼る状況となり、計器や油圧システムは反応を保ちながらも、機体の制御は難しくなりました。

報告によれば、火山灰がエンジン内部に堆積し、そこでガラス状の物質に変化してしまった事が原因とされています。この変化がエンジンの温度センサーを誤作動させ、全エンジンの自動停止を引き起こしました。

機長は何度もエンジン再起動を試みましたが、一向に成功しませんでした。そのため、機体は高度を失いながら降下していく危機的な状況になりました。通常、ターボファンエンジンは飛行中にエンジンを再起動するためのセルモーターを内蔵していないため、再起動を試みるには空気を大量かつ高速で引き込む必要があります。すなわち、機体を急降下させ、その間に吸い込む風を最大限に利用して再点火を目指すのです。この「ウィンドミルスタート」の方法を用い、867便の乗組員も何度かの急降下を試みた結果、遂にエンジンを再始動することに成功しました。

無事にエンジンを復旧させた後、パイロットは航空機を安全に着陸させることができ、結果として乗員や乗客に死傷者は出ませんでした。しかし、火山灰の影響で機体は8000万ドル以上の損害を被り、全エンジンを交換しなければならなくなりました。また、搭載されていた貨物は一時的に所在不明となり、犠牲になった動物もいます。

この事故は747-400型機の初めての事故であり、その後の航空業界における火山灰に対する認識を高めました。867便は以降もKLMオランダ航空で運航が続けられ、2016年にはアムステルダム発の大阪行きの便名としても運航されています。

このように、KLMオランダ航空867便の事故は航空の安全性に関する重要な教訓を与えるものであり、今後の航空機運航の際には火山灰などの自然現象に対する理解が不可欠であることを再認識させられます。

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