KNOCK ON MY DOOR

荻野目洋子『KNOCK ON MY DOOR』：多様な才能が織りなす音楽世界

1990年8月21日、荻野目洋子の12枚目のアルバム『KNOCK ON MY DOOR』がビクター音楽産業よりリリースされました(品番: VICL-56)。吉田建氏をプロデューサーに迎え、サエキけんぞう氏、NOBODY氏、井上陽水氏など、数々の才能溢れるアーティストが参加した本作は、荻野目洋子の音楽的幅広さを示す重要な作品と言えるでしょう。

アルバムは、多彩な楽曲群で構成されています。キャッチーなメロディーと洗練されたサウンドが魅力の楽曲から、聴き手に深く考えさせるような詩情豊かな楽曲まで、幅広い音楽性が堪能できます。特に、井上陽水氏作詞作曲による「ギャラリー」は、アルバムバージョンとして収録されており、シングルバージョンとは異なる歌詞で、ライブステージでも歌われることがありました。このアルバムバージョンとシングルバージョンの違いは、歌詞のニュアンスや表現方法に微妙な変化があり、楽曲に対する解釈を深める上で興味深い点です。

楽曲制作においては、小林信吾氏、佐橋佳幸氏といった、当時既に高い評価を得ていた編曲家たちが、それぞれの楽曲の世界観を最大限に引き出すアレンジを施しています。彼らの技術とセンスは、楽曲の完成度を高め、聴く者の心を掴む一助となっています。それぞれの楽曲に個性があり、荻野目洋子のボーカルと見事に融合することで、アルバム全体の統一感と多様性を両立させています。

ジャケット写真は、写真家三浦憲治氏が担当しました。三浦氏は後に荻野目の写真集『太陽の海岸 Costa del sol』も手掛けており、彼の作品世界と荻野目の魅力が融合した、印象的な一枚となっています。ジャケット写真からも、アルバムの世界観が伝わってくる点が、この作品の魅力の一つです。

2010年には、デビュー25周年を記念した再発盤『KNOCK ON MY DOOR [+5]』が発売されました。この再発盤には、ボーナストラックとして「ギャラリー」(シングル・バージョン)、「ON BED」、「少年の瞳に…」、「A HAPPY NEW YEAR」、「Symphonic ギャラリー」が追加収録されており、より充実した内容となっています。これらのボーナストラックは、アルバム本編とはまた異なる魅力を持ち、改めてこのアルバムの奥深さを味わうことができます。

『KNOCK ON MY DOOR』は、単なるポップスアルバムではなく、様々なアーティストの才能と荻野目洋子の表現力が融合した、完成度の高い作品です。楽曲のクオリティ、アレンジの巧みさ、そして写真家による印象的なジャケット写真と、多くの要素が相まって、聴く者の心に深く刻まれる作品となっています。このアルバムは、荻野目洋子の音楽性を理解する上で、重要な作品と言えるでしょう。

収録曲一覧

待ちきれない瞳 (作詞：只野菜摘 / 作曲：大羽義光 / 編曲：小林信吾)
扉はミラクル (作詞：サエキけんぞう / 作曲：NOBODY / 編曲：小林信吾)
KNOCK ON MY DOOR (作詞：尾上文 / 作曲：NOBODY / 編曲：佐橋佳幸)
ANGEL EYES (作詞：サエキけんぞう / 作曲：吉田建 / 編曲：佐橋佳幸)
ギャラリー (FANTASY Mix) (作詞・作曲：井上陽水 / 編曲：小野沢篤)
Yes,it's me (作詞：コシミハル / 作曲：NOBODY / 編曲：吉田建)
Type:B (作詞：小西康陽 / 作曲：鈴木さえ子 / 編曲：佐橋佳幸)
Julia (作詞：コシミハル / 作曲：鈴木さえ子 / 編曲：小林信吾)
BEAT GOES ON (作詞：サエキけんぞう / 作曲：伊藤銀次 / 編曲：吉田建)
恋にアクセス (作詞：サエキけんぞう / 作曲：NOBODY / 編曲：吉田建)
きれいになりたい (作詞：森雪之丞 / 作曲：亀井登志夫 / 編曲：吉田建)
Birthday 〜エピローグ (作詞・作曲・編曲：吉田建)

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