KOMO-TV

KOMO-TVは、アメリカ合衆国ワシントン州シアトル市を拠点とするABCネットワーク加盟の主要テレビ局です。現在はシンクレア・ブロードキャスト・グループの傘下にあり、ベルビューに認可されたCWネットワーク提携局KUNS-TVと共に、シアトルのKOMOプラザにある施設を共有しています。送信所はシアトル市内のクイーン・アン地区に位置します。

歴史

KOMO-TVの歴史は、1953年12月にシアトルに本拠を置くフィッシャー・ブロードキャスティングの主力局として始まりました。ラジオ局KOMO（1000 AM）のテレビ部門として開局した当初はNBCネットワークに加盟していましたが、1959年にKING-TVがNBCの独占加盟局となったことに伴い、KOMO-TVはABCネットワークの独占加盟局へと切り替わりました。このネットワーク変更後も、KOMO-TVはシアトル市場において、長期にわたりKING-TVに次ぐ高い視聴率を維持しています。

開局以前にも、KOMOはテレビ技術の実験を行っていました。1929年には、KOMOラジオのエンジニアが試験的にテレビ信号を放送し、シアトルで最初のテレビ信号送信を行ったとされています。

フィッシャー家は製粉・製材業で成功を収めた後、1926年にKOMOラジオを設立して放送業界に参入しました。テレビ局の免許取得を経て、1953年12月にKOMO-TVを開局させました。KOMOの運営には、共同創設者の一族であるウィリアム・W・ウォーレンが深く関与しました。

技術革新においても先駆的な役割を果たし、1954年には短時間でカラーフィルムを現像する技術を開発し、国内で初めてトゥルーカラーでの放送を実現しました。また、1984年には毎日フルステレオサウンドで番組を放送する国内初のテレビ局となり、1997年には高解像度デジタル信号の放送を開始、1999年には日刊ニュースのHD放送を行ったと主張しています（他局も同様の主張あり）。

番組と報道

KOMO-TVは、地元ニュース報道に注力しており、週に45時間ものニュース番組を制作しています。シアトル市場におけるニュース視聴率競争では常にトップクラスに位置し、その報道活動は数々の賞を受賞しています。エドワード・R・マロー賞や地域エミー賞など、その質の高い報道は広く認められています。

KOMO-TVはかつてフィッシャー・コミュニケーションズが所有するシアトル市場最後の地元資本のテレビ局でしたが、2013年にシンクレア・ブロードキャスト・グループによる買収が完了し、その所有構造が変化しました。

歴史的な出来事として、1980年5月18日のセント・ヘレンズ山の噴火では、スタッフのデイブ・クロケットが危険を冒して捉えた映像が世界的に報じられました。2014年には、ニュース取材用ヘリコプターの墜落事故で2名のスタッフが命を落とす悲劇がありました。この事故の後、新設されたニューススタジオには犠牲者を追悼するデザインが施されています。

近年では、2021年に長年のラジオ姉妹局であったKOMOラジオなどが売却され、KOMO-TVはラジオ部門と分離しました。また、2023年以降、提携局KUNS-TVを通じてCWネットワークのシアトル市場向け加盟局としての役割も担っています。

過去には、ポートランドの姉妹局KATUと共に『マンデーナイトフットボール』を1時間遅れて放送していましたが、後に生放送に変更しました。

論争

論争としては、2019年に放送されたシアトルの社会問題に関するドキュメンタリー『Seattle is Dying』が、その内容や表現について批判を受けた事例があります。

スタッフ

放送スタッフの中には、長年夕方のニュースを担当したダン・ルイス、カティ・ゲルツェン、スティーブ・プールなど、シアトルの視聴者に親しまれた人物が多数います。特にルイスとゲルツェンによるアンカーチームは、全米でも有数の長寿コンビとして知られました。

技術情報と放送範囲

技術面では、2009年の連邦政府によるアナログ放送停止に伴い、デジタル放送へ完全に移行しました。また、モバイルDTV信号の試験放送にも関与するなど、新しい技術の導入にも積極的に取り組んでいます。

KOMO-TVの放送は、ワシントン州内だけでなく、カナダのブリティッシュコロンビア州バンクーバー/ビクトリア地域でもケーブルテレビなどを通じて視聴可能です。

国際姉妹局

国際的な関係では、日本の北海道テレビ放送と姉妹局提携を結んでいます。

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