KROSS×OVER

KROSS×OVER（クロスオーバー）は、KROSS×OVER実行委員会が主催する日本の格闘技イベントです。現在の代表は島村直希氏が務めています。この興行は、2017年9月以降、主に埼玉県を拠点として開催されており、キックボクシング、ムエタイ、そして総合格闘技といった多様なルールの試合が行われているのが特徴です。

沿革

『KROSS×OVER』の旗揚げは、2017年7月に発表されました。当初代表を務めたのは、元プロ修斗選手であり、かつてJ-NETWORKやKrush、K-1アマチュアといった団体で要職を歴任した坂本光広氏です。この時点では、総合格闘技とキックボクシングの試合を中心に実施する方針が示されていました。団体は「スピーディな試合展開」と「イジメ撲滅」という二つの明確なコンセプトを掲げ、プロフェッショナルの試合だけでなく、アマチュアレベルの試合も積極的に組み込むことが同時に発表されました。

記念すべき第1回大会は、旗揚げ発表からわずか2ヶ月後の2017年9月17日に、埼玉県のイコス上尾にて開催されました。この大会のメインイベントでは、元TRIBELATEウェルター級王者であるジョージ選手とYOSHIKI選手が対戦し、観衆の注目を集めました。

団体の歴史において初期の重要な出来事としては、2018年2月から10月にかけて行われた「初代-60kgキック王座決定トーナメント」が挙げられます。8名の選手によって争われたこのトーナメントを制したのは旭野穂選手であり、KROSS×OVER初の公式タイトルとなる初代-60kgキックチャンピオンに認定されました。

2020年に入ると、団体のタイトル戦線はさらに進展します。同年10月には、空位となっていた「-60kg 第2代王座決定戦」が実施され、石月祐作選手が勝利を収め、第2代KROSS×OVER KICK -60kg王座を獲得しました。同年12月には、ベテランファイターである藤原あらし選手がムエタイバンタム級トーナメントに出場し、決勝に進出しました。対戦相手の体重超過という事態により、トーナメントとしての優勝は決定しましたが、試合自体はワンマッチとして行われ、藤原選手が判定で勝利を収める結果となりました。

2023年も印象的な大会が続きました。同年4月に開催された「KROSS×OVER.21」では、キックボクシング界のレジェンドである立嶋篤史選手が、51歳という年齢でありながら自身の通算100戦目という記念すべき試合に臨みました。結果は残念ながらTKO負けとなりましたが、その挑戦する姿勢は多くのファンに感動を与えました。同年10月開催の「KROSS×OVER.23」では、キックルール女子アトム級のタイトルマッチが行われ、当時現役女子高生ファイターとして注目されていた辻井和花選手が挑戦者として出場しました。この試合で辻井選手は王者から判定勝利を奪い、同級の新チャンピオンに輝きました。

KROSS×OVERはリングでの試合だけでなく、ケージでの試合も開催しています。2024年11月に行われたケージ大会「KROSS×OVER-CAGE.4-」では、メインイベントとして新居すぐる選手と森戸新士選手による10分1ラウンドのグラップリングワンマッチが組まれました。この注目の試合は、森戸選手が三角固めによる一本勝ちを収める形で決着しました。

そして比較的新しい出来事として、2025年4月開催の「KROSS×OVER.30」でのキックルール女子アトム級タイトルマッチが挙げられます。ここでは、挑戦者として登場した菊地美乃里選手が、前述の王者である辻井和花選手と対戦しました。激戦の末、菊地選手が判定で勝利し、同級における3代目の王座を獲得しました。

このように、KROSS×OVERは多様なルールと選手層を持ち、様々な歴史的な試合を積み重ねながら、日本の格闘技シーンにおいて独自の存在感を放っています。

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