KVMスイッチ

KVMスイッチについて

KVMスイッチ（Keyboard, Video, Mouse スイッチ）は、ユーザーが複数のコンピュータを一つのキーボード、ディスプレイ、マウスで管理するためのハードウェア装置です。これにより、各コンピュータに専用の周辺機器を用意する手間が省け、効率的な作業環境が実現できます。特にデータセンターやオフィスにおけるマルチコンピュータ環境での利用が一般的で、多台数のコンピュータを一元的に管理するのに役立ちます。

KVMスイッチの使用方法

ユーザーは、KVMスイッチにキーボードとマウス、ディスプレイを接続し、特定のケーブル（通常はUSBやVGA）で各コンピュータと接続します。コンピュータの切り替えはKVMスイッチのスイッチやボタンを使用するほか、キーボードからのコマンド入力でも可能です。これにより、スムーズにコンピュータ間を切り替えて操作できます。

KVMスイッチの接続可能なコンピュータの台数は様々で、2台から512台に及ぶものもあります。特に大企業向けのモデルでは、デイジーチェーン接続が可能であり、さらに多くのコンピュータを接続できます。この特性により、複数のサーバーやPCを簡便に管理しやすくなっています。

KVMスイッチの種類

KVMスイッチには、受動スイッチと能動スイッチの2種類があります。受動KVMスイッチは、機械的な部品で構成されており、通常低価格で販売されていますが、同時に接続できるコンピュータ数に制限があります。一般的に、2台から4台までの範囲で運用されることが多いです。

一方、能動電子KVMスイッチは、より複雑な電子回路を持ち、多数のコンピュータを接続することができます。周辺機器のエミュレーション機能を持ち、選択されていないコンピュータに対しても周辺機器が接続されているかのような信号を送信できるため、ブートの際などに安定した動作を実現します。

ただし、能動KVMスイッチには信号の伝達が完全ではない場合があり、特定の周辺機器が正常に機能しないケースがあります。

ソフトウェアによる代替

ハードウェア的なKVMスイッチの代わりに、Input DirectorやSynergy、VNCなどのソフトウェアを使用する方法もあります。これらのソフトウェアは、ネットワークを介して入力信号を送信し、必要な配線を削減しますが、事前に各コンピュータにソフトウェアをインストールする必要があります。OSが稼働する環境でなければ利用できず、BIOS設定などには使用できません。

リモートKVM機器

リモートKVMは、ユーザーが物理的に離れた場所からコンピュータを操作するための装置で、近距離リモート型とKVM over IP型の2つに分かれます。近距離リモート型は、最大300メートルまでの接続が可能ですが、KVM over IP型はLANやWANを通じて遠隔のコンピュータを操作できます。

リモートKVMを使用することで、例えばオフィスビル内の複数コンピュータを遠隔から管理できます。KVM over IP型は、TCP/IPを利用し、利便性を高めていますが、レイテンシーが発生するため、若干の遅延を感じることがあります。

日本における市場動向

2019年以降、日本国内のKVMスイッチ市場では、エレコムがトップシェアを誇り、サンワサプライ、ラトックシステムが続く結果となっています。これにより、国内での製品選定や新製品開発に影響を与えることが期待されています。

KVMスイッチは、1台の周辺機器から複数のコンピュータを管理するための便利なソリューションであり、今後も多くの環境で利用されることが予想されます。

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