エレコム

エレコム株式会社は、大阪市中央区に本社を構える、東証プライム市場に上場している大手コンピュータ周辺機器メーカーです。

創業と成長

創業者の葉田順治氏は、家業の製材所が倒産した後にエレコムを起業しました。当初はOA家具メーカーとしてスタートしましたが、フロッピーディスクケースなどのOAアクセサリー、そしてマウスやキーボードなどの入力機器へと事業を拡大しました。現在では、バッファローやアイ・オー・データ機器と並ぶ、日本を代表するIT機器メーカーとしての地位を確立しています。

事業の多角化とグローバル展開

エレコムは、マウス、キーボードをはじめとする13部門で業界トップシェアを誇り、スマートフォン関連製品にも力を入れています。近年は、BtoCからBtoBへの経営シフトを進め、M&Aを積極的に活用して法人向けビジネスを強化しています。また、中国や東南アジアを中心に海外展開も積極的に行っており、グローバル企業としての成長を続けています。

ファブレスメーカーとしての戦略

エレコムは、自社で生産設備を持たないファブレスメーカーです。国内外から7,000点以上の製品を調達し、特に海外からの調達を積極的に推進しています。仕入先の選定においては、品質、コスト、供給体制を総合的に考慮し、厳格な品質基準を設けて「売れる商品」を提供し続けています。

製品開発のサイクル

エレコムが販売する製品数は、型番ベースで約1万7000点に及びます。年間で4200～4300点の新製品が開発され、3～4年でほぼ全商品が入れ替わるという、非常に速いペースで製品展開を行っています。これは、「市場の変化に合わせてビジネスモデルを作っていく」というエレコムの考え方を反映したものです。

直営店の展開

2010年代後半からは、直営店「Elecom Design Shop」を大阪市内をはじめとする日本各地に展開しています。これにより、顧客との直接的な接点を増やし、ブランドイメージの向上に努めています。

沿革

エレコムは1986年に大阪市都島区で設立され、パソコンラックの販売から事業を開始しました。その後、OAアクセサリーや入力機器の販売を開始し、1990年にはハードウェア事業に参入しました。1992年には米国に現地法人を設立し、海外展開を開始。2000年代には、無線LANや海外拠点の設立、上場などを経て、事業規模を拡大しました。

近年では、2023年にテスコム電機をグループ会社化、2024年には日本アンテナを完全子会社化した上でDXアンテナとの経営統合を行うなど、M&Aを通じた事業拡大を積極的に進めています。

主な製品

エレコムは、パソコン周辺機器を中心に幅広い製品を開発・販売しています。

メモリ: SSD、USBメモリ、SDメモリーカード、メモリリーダライタなど
入力機器: マウス（ワイヤレス、レーザー、光学式など）、キーボード、テンキーボード、ゲームパッド
ケーブル: LANケーブル、USBケーブル、USBハブ
アクセサリ: キャリングバッグ、インナーバッグ、キーボードカバー、ディスプレイカバー、液晶フィルター、マウスパッド
ファニチャ: パソコンデスク、パソコンラック/プリンタラック、チェア
ルーター: 有線LAN・無線LAN
インク・トナー: 詰め替えインク、リサイクルトナー
AVD関連: ヘッドホン・イヤホン、スピーカ、TVラック、ケース、保護フィルムなど

不祥事

2004年には、自社製品のブロードバンドルータにGPL違反があったことが発覚しました。ユーザーからの指摘に対し、当初は対応を拒否していましたが、後に方針を転換し、セキュリティ対策を施したファームウェアの公開と、GPLに基づいたソースファイルの開示を行うこととなりました。また、2021年にはブラザー工業を相手取り、リサイクルインクカートリッジの使用を妨害する設計変更を問題視した訴訟を起こし、一部勝訴しました。

まとめ

エレコムは、パソコン周辺機器メーカーとして、その製品の幅広さと高い品質で知られています。市場の変化に迅速に対応し、積極的に新製品を開発することで、業界をリードしています。また、M&Aやグローバル展開を積極的に行うことで、さらなる成長を目指しています。

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