Kauli

Kauli株式会社：日本のRTB広告市場を牽引した企業の軌跡

Kauli株式会社は、データマイニング技術を駆使したリアルタイムビッディング広告（RTB）を提供する、日本のIT企業として知られていました。月間150億インプレッションを超える配信規模を誇り、国内における広告配信数では第2位という圧倒的な存在感を示していました。

高田勝裕博士（理学）が代表取締役を務めた同社は、当初アドネットワーク事業からスタートしました。しかし、2011年1月、フリークアウト社との協業により国内で初めてRTB広告取引を開始。この転換点を境に、Kauli社はSSP（サプライサイドプラットフォーム）事業に特化し、セルフサーブ型SSPとして国内最大規模へと成長を遂げます。

その急成長を支えたのは、高度なデータマイニング技術と、主要広告プラットフォームとの戦略的な連携でした。2012年にはNTTドコモの広告子会社であるD2C社が株式を取得し、スマートフォン広告市場への本格進出を果たします。この買収は、Kauli社の技術力と市場での地位の高さを示す大きな出来事となりました。

その後、2015年4月にはVOYAGE GROUPが17億4100万円でKauli社の全株式を取得。同社はVOYAGE GROUPの傘下に入ることになります。そして同年12月31日、VOYAGE GROUPの子会社であるfluct社に吸収合併され、Kauli株式会社としての歴史に幕を閉じました。

Kauli社の提供サービスは、主に『Kauliサプライサイドプラットフォーム』と『Kauliアドネットワーク』でした。他にも、GMOアドパートナーズやFOXインターナショナルチャンネルズといった大手企業との連携を通して、多くの広告配信実績を残しています。

Kauli社の歴史を年代順に見ていきましょう。

2009年9月9日: アドネットワークサービス開始
2010年2月8日: 韓国でのアドネットワークサービス開始
2010年9月30日: サプライサイドプラットフォームサービス開始
2011年1月13日: フリークアウト社と共同で、日本初のリアルタイムビッディング広告配信開始。セプテーニ・ホールディングス社が株式の一部を取得
2012年2月8日: D2C社とDFJ-JAIC Technology Partners, LP.が株式の一部を取得
2013年2月26日: 日本初となる直接取引による広告配信開始
2013年10月4日: アメリカのMediaMath社とPCおよびスマートフォンでの連携開始
2014年5月10日: フランスのCriteo社とPCおよびスマートフォンでの連携開始
2015年4月24日: VOYAGE GROUP社が全株式を取得
2015年12月31日: fluct社に吸収合併

Kauli株式会社は、日本のRTB広告市場において重要な役割を果たした企業でした。その技術力と成長戦略は、日本のデジタル広告業界に大きな影響を与えたと言えるでしょう。短命に終わった企業ではありますが、その存在感は、日本の広告テクノロジーの歴史に深く刻まれています。

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