Kh-58 (ミサイル)

Kh-58ミサイルの概要

Kh-58（ロシア語: Х-58）は、ソ連のラドゥガ国家機械製造設計局によって開発された対レーダーミサイルです。このミサイルは、当初の名称をIzdeliye 112とし、NATOコードネームではAS-11キルター（Kilter）として知られています。

開発の経緯

1970年代初頭、ラドゥガは、Su-24M戦闘機に搭載するKh-28（NATOコードネーム：AS-9カイル）の後継機となる固形燃料ミサイルの開発を開始しました。当初の開発名はKh-24で、1975年にNATOレーダーを模したエミッタでの試験が行われました。これにより、その後の搭載シーカーであるPRGS-58の開発が進みました。Kh-58は1980年に実用化が宣言されましたが、実際の配備は1982年まで待たれました。開発はその後も続き、1980年代にはKh-58U、2007年にはKh-58UShE、2015年にはKh-58UShKE(TP)の発表が行われました。

設計特性

Kh-58の胴体には30KhGSAステンレス鋼が使用され、翼部にはOT4-1チタン合金が採用されています。エンジンは、初期のブーストフェーズで6,000Kpの推力を発生し、その後は1,000Kpを維持します。弾頭は149kgの爆風破片弾頭で、ROV-20アクティブ・レーザー近接信管と接触信管によって作動します。誘導にはPRGS-58シーカーを搭載してパッシブホーミングを行います。また、特定の防空レーダーをターゲットにするシーカーの装備も可能です。

射程は発射高度によって異なり、低高度から36km、高度10,000mから120km、高度15,000mから160kmに達します。敵の防空レーダーに対する命中確率は80%とされています。運用には、L-080ファンタスマゴリア-AやL-081ファンタスマゴリア-B電子情報収集ポッドが使用できます。

運用とバリエーション

Kh-58は1982年からソ連のSu-24Mに搭載され、1991年には改良型のKh-58UがSu-24MおよびMiG-25BMに導入されました。輸出型のKh-58EはSu-22M4やSu-25TKに対応しています。型式には各種改良版が存在し、Kh-58Uは射程の拡大や発射後ロックオン機能を追加しています。Kh-58UShEは新しい広帯域シーカーを搭載し、Su-30MKにも搭載されます。

Kh-58UShkEは、2007年に設計が進化し、Su-57に搭載できるように設計されており、効率も大幅に向上しています。また、Kh-58UShKE(TP)は2015年に赤外線画像シーカーを搭載したモデルです。

運用国

現在、Kh-58はロシアをはじめ、インド、マレーシア、アルジェリア、イラン、カザフスタン、北朝鮮、ペルー、ポーランド、ウズベキスタンなどに運用されています。過去にはソ連やウクライナ、イラクにおいても運用事例があります。

まとめ

Kh-58は、その優れた設計と多様な派生型により、多くの国で運用され続けている重要な対レーダーミサイルです。今後も、各国の航空戦力の一翼を担う存在として期待されます。

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