Killer7

『killer7』 - 豊かな世界観と情報にあふれたアクションアドベンチャー

『killer7』は、グラスホッパー・マニファクチュアによる独特なアクションアドベンチャーゲームで、カプコンから2005年に発売されました。ゲームは、そのユニークなジャンル名称「多層人格アドベンチャー」に象徴されるように、超人的な能力を持つ多重人格の殺し屋集団「killer7」を主角とし、敵である怪物的なテロリスト集団「笑う顔」との戦闘を描きます。ゲームデザインは須田剛一によるもので、彼の作家性が強く表れています。

ゲームの特徴

本作は、難解で謎めいたストーリー、スタイリッシュなキャラクター造形、そしてトゥーンレンダリング技術を使った独自の映像スタイルが特徴です。主にサードパーソン・シューティング形式で進行し、プレイヤーはリアルタイムの戦闘やマップ移動、アイテム取得や謎解きを通じてストーリーを進展させます。

須田剛一の過去作と比べると、『killer7』はアクション要素が非常に強くなっています。特に、戸惑いや驚きを呼ぶ端的なセリフや、ブラックユーモアを交えた演出が目立ち、暴力表現や性描写などの過激な内容により、CERO Z（18歳以上対象）に分類されています。また、ゲームの表現方法として、映像やフォントに関する細やかな配慮も見受けられ、テキストのアニメーション化やカタカナのルビ使用が特徴的です。

ゲームシステムの紹介

ゲームは全11話構成で、各章は主人公の一人であるガルシアン・スミスが依頼を受けるシーンから始まります。プレイヤーはボスキャラクターを目指してマップを進む中で、雑魚敵「笑う顔」に遭遇し、これを倒したり回避したりする必要があります。また、ストーリーを進める過程で特定のアイテムを収集したり、謎を解くことで新たな展開を迎えることも求められます。ここで、ユニークなのはハーマン部屋と呼ばれる場所でセーブやレベルアップができることです。このハーマン部屋はただのセーブポイントではなく、物語の重要な要素が絡んでいる特異な空間です。

人物描写とストーリー

『killer7』では、スミス同盟と呼ばれる多層人格のキャラクターが存在し、それぞれ異なる能力や個性を持っています。ゲームの進行は、この多層人格の切り替えを用いて進められ、各章ごとのストーリーも独自に展開します。主人公が一つの依頼を果たす過程で、複雑に絡み合った人物描写や政治的背景が展開され、プレイヤーに深い思索を促します。

物語のクライマックスには、ハーマン・スミスと彼の宿敵クン・ランとの対峙が待っています。この二人の関係性は、国家とテロの象徴的な対立として描かれ、またそれがプレイヤーに大きな選択を投げかけることになります。

受賞歴と評価

『killer7』は、その革新性や独特なデザインのために、国内外で多くの賞を受賞しています。特に北米やヨーロッパでの評価が高く、多くのゲーム賞を受賞しました。また、宗教学者の内藤理恵子はこのゲームを「ポストモダンの自己像の表現として最上級の芸術」と評しています。ゲームを通じて多様に解釈できる要素があり、自由な解釈を促すデザインが魅力的です。

このように、独自の世界観と体系を持ち、過去の作品との関連性も考慮しつつ新たな挑戦を感じさせる『killer7』は、ゲームファンにとって必見の作品です。

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