L'Arc-en-Ciel (映像作品)

L'Arc-en-Ciel (ラルク アン シエル) 解説

L'Arc-en-Cielが初めてリリースした公式作品は、1992年3月10日と16日に難波ROCKETSと新宿LOFTで行われたライブで無料配布された自主制作ビデオです。この作品は、バンド結成時のメンバー、hyde(Vo.)、hiro(Gt.)、tetsuya(Ba.)、pero(Dr.)で構成されていた時代の貴重な映像記録となっています。hiroが1992年6月12日に脱退したため、このビデオは彼が在籍していた唯一の公式作品となりました。

当時のメンバーのアーティスト名義は現在と異なり、ジャケット裏面ではhydeはHyde、hiroはHiro、tetsuyaはTetsu、peroはPeroと表記されています。映像内では全て大文字で表記されています。また、1曲目の「Claustrophobia -11.5 ROCKETS-」冒頭のhydeの表記のみ、Vocal:HIDEとなっています。

収録内容

このビデオには、1991年から1992年にかけてライブで頻繁に演奏されていた「Claustrophobia」のライブ映像と、「I'm in Pain」が収録されています。「Claustrophobia」は、1991年11月5日の難波ROCKETS公演のテイクで、「Claustrophobia -11.5 ROCKETS-」として収録されています。さらに、ジャケット裏面に記載はないものの、スタッフロールでは「Nostalgia」が使用されています。「I'm in Pain」と「Nostalgia」は、バンド結成直後のレコーディング音源が使用されています。

tetsuyaによると、このレコーディングはライブハウスへのブッキング用デモテープ作成のためで、販売目的ではなかったとのことです。

楽曲について

「Claustrophobia -11.5 ROCKETS-」「I'm in Pain」「Nostalgia」の3曲は、全てhiroが作曲を担当しています。これらの曲は、後の1stアルバム『DUNE』に収録される予定でしたが、hiroが自身の楽曲の収録を拒否したため、現在までアルバムには収録されていません。

hydeは、アーティストブックで『DUNE』の当初のイメージがより攻撃的だったと述べており、「I'm in Pain」や「No Truth」が収録される予定だったことを明かしています。

hiroとperoは脱退後もhyde、tetsuyaと交流があり、VAMPSのライブやtetsuyaのソロライブで共演しています。特にtetsuyaのソロライブでは、約23年ぶりに3人で「I'm in Pain」と「Dune」をセッションし、ファンを驚かせました。

リリースの経緯

L'Arc-en-Cielは、結成当初からデモテープの販売を行わない方針でした。tetsuyaは、ライブに来ないと聴けないというレア感を重視していたと語っています。しかし、ライブ来場者やレコード会社から音源化の要望が多かったため、ライブ来場者への無料プレゼントという形でビデオをリリースすることになりました。

ジャケット裏面には「NOT FOR SALE」と明記され、非売品であることが示されています。

現在オークションに出品されているデモテープは、非公式なもの、または関係者から流出したものとされています。

リリース形態

このビデオは約500本限定でVHS規格で配布されました。ライブ来場者限定だったため、現在では入手困難なアイテムとなっています。収録曲は他のアルバムに収録されていないため、海賊盤も出回っています。

2011年発表のベストアルバム『TWENITY BOX』の付属DVDに、本作の一部映像が収録されました。パッケージデザインは、hydeが手掛けています。

収録曲詳細

Claustrophobia -11.5 ROCKETS-
作詞: HYDE / 作曲: HIRO
1991年11月5日の難波ROCKETS公演のライブ映像。
フルサイズではなく途中でカットされている。
1stアルバム『DUNE』収録の「Shutting from the sky」の原曲。
メロディや歌詞が大幅に変更されている。

I'm in Pain
作詞: HYDE / 作曲: HIRO
ダークでハードなロックナンバー。
初期のライブで頻繁に演奏されていた曲。
hydeは「ラルクにとって、初めの1曲」と表現。
1991年の結成直後のレコーディング音源を使用。
1992年7月24日のライブで歌詞カードが無料配布された。
hiroとpero脱退後、演奏頻度が減ったが、2006年の15周年ライブで約11年ぶりに演奏。
tetsuyaのソロライブでhiroとperoを交えてセッションされた。
「Dune」と同様に、7人全員が演奏したことのある楽曲。

Nostalgia (staff roll)
作詞: HYDE / 作曲: HIRO
鐘の音のようなメロディアスなナンバー。
スタッフロールで使用されているため、フルサイズではない。
1991年の結成直後のレコーディング音源を使用。
* hiro脱退後は、ライブで演奏されることがなくなった。

このビデオは、L'Arc-en-Cielの初期の貴重な姿を捉えた作品であり、その音楽性や歴史を語る上で欠かせない重要な作品と言えるでしょう。

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