L級駆逐艦 (2代)

L級駆逐艦：イギリス海軍の野心と現実

L級駆逐艦は、イギリス海軍が1937-8年度計画で建造した駆逐艦の艦級です。このクラスは、先行するJ級駆逐艦を基に設計されましたが、新型の50口径12cm連装砲の搭載を想定して大型化されました。しかし、砲の製造遅延により、計画は一部変更を余儀なくされ、結果として多様な装備構成を持つ艦が誕生することになりました。

開発の背景

イギリス海軍は、1920年代後半から駆逐艦の主砲として45口径12cm砲を採用していましたが、駆逐艦の砲火力強化の必要性から連装化を模索しました。まず、既存の砲を基に開発されたMk.XII砲がトライバル級に搭載されました。同時に、密閉砲室の砲塔を採用した50口径12cm砲（Mk.XI）の開発が進められ、L級駆逐艦に搭載される予定でした。

しかし、この新型砲は予想以上に重量があり、搭載には艦体の大型化が不可欠でした。このため、当初J/K級に準じた設計が予定されていたL級は、トライバル級に匹敵する大型艦として建造されることになりました。

設計の特徴

L級駆逐艦は、船首楼型、単煙突という基本構成をJ級から引き継いでいます。特徴的なのは、居住区画外板に設けられた緊急脱出窓で、これは波浪の打ち込みを考慮して、船首楼甲板区画のみに設置されました。50口径12cm砲搭載艦では、密閉砲室化に伴い、ブラストスクリーンが廃止されました。

機関構成はJ級と同様で、アドミラルティ式3胴型水管ボイラーとパーソンズ式オール・ギヤード・タービンを搭載しました。ただし、艦体の大型化に対応して蒸気温度が上昇し、主発電機の出力も増強されました。

装備の変遷

当初、L級駆逐艦は新型の50口径12cm砲を連装砲塔3基搭載する計画でした。この砲は最大仰角が大きく、電動油圧駆動で操作されました。しかし、製造の遅延により、前期建造艦4隻は45口径10.2cm連装高角砲を4基搭載することになりました。この変更は、駆逐艦の役割が対空防御にも重点が置かれるようになったことを示しています。

対空兵装はトライバル級やJ級と同構成で、40mm4連装機銃1基と12.7mm4連装機銃2基を搭載していました。また、魚雷発射管は艦砲などの重量増加のため、4連装に削減されました。しかし、戦訓から後期建造艦は後部魚雷発射管を撤去し、45口径10.2cm単装砲を搭載する改修が行われました。さらに、全艦で20mm機銃の増備も行われました。

竣工時からレーダーも搭載されており、測距用と早期警戒用のものが装備されました。これらのレーダーは、後の改修で新型のものに更新されました。

戦歴と終焉

L級駆逐艦は第二次世界大戦の激戦期に活躍しましたが、5隻が戦没し、2隻が全損と判定されて解体されました。終戦まで唯一残存したルックアウトも、戦後間もなく解体されました。

L級駆逐艦は、装備の多様性や戦時中の改修など、駆逐艦が直面した変化を象徴する存在と言えるでしょう。その設計は後の駆逐艦にも影響を与え、イギリス海軍の駆逐艦史において重要な役割を果たしました。

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