L.A. (ライト・アルバム)

『L.A. (Light Album)』は、1979年にザ・ビーチ・ボーイズがリリースしたアルバムです。リプリーズ・レコードからCBS傘下のカリブ・レコードへ移籍後、初のアルバムとして発表されました。

当時、バンドのマネージャーであったジェームズ・ガルシオは、自身のレーベルであるカリブ・レコードにビーチ・ボーイズを移籍させ、ブラザー・レコードと共にアルバムを配給する契約を結びました。このアルバムでは、ブライアン・ウィルソンの体調悪化に伴い、ブルース・ジョンストンが共同プロデューサーとして制作に参加し、バンドに復帰しました。

収録曲の中でも特に注目されるのは、マイク・ラブが作詞した「想い出のスマハマ」です。この曲は、日本の須磨海岸を舞台にしたもので、歌詞の一部が日本語で歌われています。マイク・ラブは自伝の中で、この曲は当時の婚約者であったスマコにインスパイアされたと語っています。歌詞には、父親を探すために母親と共にスマ浜へ行くことを願う若い女性の姿が描かれています。

「想い出のスマハマ」は日本でのみシングルカットされ、ラジオ関西のアナウンサー木元英治は、ライナーノーツでブルース・ジョンストンの話として、スマ浜が神戸の須磨海岸であることはほぼ確実であると述べています。2012年には、テレビ番組「探偵!ナイトスクープ」でマイク・ラブ自身が須磨の海岸を歌った歌だと明言しました。アルバムのジャケットには各収録曲をイメージしたカードがデザインされており、「想い出のスマハマ」のカードには芸者や武士のイラストが描かれています。

また、デニス・ウィルソンが提供した「ベイビー・ブルー」と「ラヴ・サラウンズ・ミー」は、当初CBSにコマーシャル性に欠けると判断され、発売を拒否された彼のソロ・アルバム『バンブー』からのリミックス転用曲です。これらはデニスにとって、ビーチ・ボーイズで発表した最晩年のオリジナル曲となりました。

このアルバムからは、「グッド・タイミン」、「レディ・リンダ」、「ヒア・カムズ・ザ・ナイト」がシングルカットされました。特に「レディ・リンダ」は全英シングルチャートで7位を記録するヒットとなりました。

収録曲は以下の通りです。

1. グッド・タイミン - Good Timin'
2. レディ・リンダ - Lady Lynda
3. フル・セイル - Full Sail
4. エンジェル・カム・ホーム - Angel Come Home
5. ラヴ・サラウンズ・ミー - Love Surrounds Me
6. 想い出のスマハマ - Sumahama
7. ヒア・カムズ・ザ・ナイト - Here Comes the Night
8. ベイビー・ブルー - Baby Blue
9. ゴーイン・サウス - Goin' South
10. ショートニン・ブレッド - Shortenin' Bread

『L.A. (Light Album)』は、ザ・ビーチ・ボーイズの新たな一面を示すとともに、彼らの音楽的多様性を堪能できる作品となっています。

もう一度検索