L2キャッシュ

L2キャッシュとは

L2キャッシュ（Level 2 Cache）は、コンピュータのマルチレベルキャッシュシステムにおける2番目の階層に位置するキャッシュメモリです。セカンダリキャッシュとも呼ばれます。キャッシュメモリは、高速にアクセスできる反面、容量が限られるという特性を持っています。そのため、コンピュータでは複数の階層を持つキャッシュ構造（マルチレベルキャッシュ）を採用しています。

L2キャッシュは、最も高速で小容量なL1キャッシュと、大容量だが速度の遅いメインメモリの中間に位置します。L1キャッシュと比較して容量を大きくしやすく、メインメモリよりも高速なアクセスが可能であるため、CPUの性能を効率的に向上させる上で重要な役割を果たします。

L2キャッシュの歴史

初期のコンピュータでは、L2キャッシュはCPUに内蔵されておらず、マザーボード上に搭載されていました。例えば、Intel 486や初代Pentiumでは、L2キャッシュはオプションとしてマザーボードに実装されていました。これは、当時のメインメモリ（DRAM）の速度がシステムバスの速度に比べて遅かったため、高速なSRAMをメインメモリとCPUの間に配置することで、アクセス速度のボトルネックを解消するためでした。

しかし、クロックダブラーなどの技術によりCPUの動作クロックが高速化するにつれ、マザーボード上のL2キャッシュでは速度が追いつかなくなり、CPUに内蔵されるようになりました。Pentium IIなどのCPUでは、CPUダイとは別のSRAMチップをL2キャッシュとしてCPUボードに実装していましたが、現在ではCPUのシリコンダイ上に演算回路と一体化して形成するのが一般的です。

L2キャッシュの性能

容量

L2キャッシュの容量は、コンピュータの性能に大きく影響します。一般的に、L2キャッシュの容量は年々増加する傾向にあります。これは、より多くのデータを高速にキャッシュすることで、CPUがメインメモリにアクセスする回数を減らし、処理速度を向上させるためです。

レイテンシ

レイテンシとは、データにアクセスする際にかかる時間のことで、短いほど高速にアクセスできることを意味します。L2キャッシュのレイテンシは、メインメモリよりも短く、L1キャッシュよりも長いです。例えば、Intel Xeon E5-2686（Broadwell, L1-32KB/L2-256KB/L3-46MB構成）では、L2キャッシュへのアクセスは約10サイクルで完了します。これに対し、メインメモリは約208サイクル、L1キャッシュは約4サイクルかかります。このことから、L2キャッシュがL1キャッシュとメインメモリの中間に位置し、両者のアクセス速度差を埋める役割を担っていることがわかります。

まとめ

L2キャッシュは、CPUの性能向上に欠かせない重要な要素です。L1キャッシュとメインメモリの間に位置し、CPUがより高速にデータにアクセスできるようにすることで、コンピュータ全体の処理速度を向上させる役割を果たしています。L2キャッシュの容量やレイテンシは、コンピュータの性能を左右する重要な指標となるため、コンピュータを選ぶ際にはこれらの情報にも注目すると良いでしょう。

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