Xeon

Intel Xeon プロセッサーについて

Intel Xeon（ジーオン）は、インテルがサーバーおよびワークステーション市場向けに展開しているx86アーキテクチャのCPUブランドです。高性能と信頼性を追求し、データセンターやプロフェッショナルな環境で広く利用されています。日本語では「ジーオン」のほか、「ゼオン」「キセオン」「クセオン」「エキシオン」など多様な呼称が存在しますが、公式には「インテル ジーオン プロセッサー」とされています。

Xeonの概要

Xeonは、1995年に登場したPentium Proのアーキテクチャを基盤とし、NetBurst、Core、Nehalem、Sandy Bridge、Ivy Bridgeなど、各世代のマイクロアーキテクチャを採用して進化してきました。一般向けPCのCPUであるPentiumシリーズと共通のアーキテクチャを持ちながら、より高度な技術や機能を先行して搭載することが特徴です。例えば、マルチコア化や周辺アーキテクチャの先行導入などが挙げられます。かつては、一般向け製品とXeonの間には1〜3年程度の性能差がありましたが、Core iシリーズの登場以降、その差は縮小傾向にあります。

Xeon製品ラインナップには、マルチプロセッサー環境をサポートする製品に「MP」が付与されていました（プロセッサーナンバー採用後は廃止）。また、デュアルプロセッサー対応モデルには便宜的に「DP」と表記されることがありました。しかし、これらは公式名称ではなく、ユニプロセッサーモデルも存在します。

自作PC市場にも流通しており、ハイエンドマシンを構築する際に利用されることもあります。ただし、Xeonはサーバーやワークステーションでの長期安定稼働や可用性を重視して設計されているため、一部モデルを除きオーバークロックには対応していません。

Xeonのバリエーション

Xeonの製品ラインナップは、当初は3つのバリエーションに分かれていました。

E7, 7000系: ハイエンドサーバー向け。4ソケット、8ソケットに対応。
E5, 5000系: ミドルレンジサーバー向け。2ソケットに対応。HPC（ハイパフォーマンスコンピューティング）でのクラスタリングにも利用。
E3, 3000系: エントリーサーバー、ワークステーション向け。1ソケットに対応。

Skylake世代以降は、4つのバリエーションに変更されました。

Platinum系: 最大2、4、または8ソケットをサポート（グレード・世代により異なる）。
Gold系: 最大2または4ソケットをサポート（グレードにより異なる）。
Silver系: 最大2ソケットをサポート。Gold系と比較してコア数が少ない。
Bronze系: 最大2ソケットをサポート。Silver系と比較してコア数が少ない。

第6世代からは、製品名に「スケーラブル」の表記がなくなり、「Xeon 6」のように世代数が数字で表記されるようになりました。

Xeon Phi

「Xeon Phi」は、Xeonブランドを冠していますが、x86互換のメニーコアコプロセッサーを搭載した並列コンピューティング用の演算ボードであり、通常のXeonとは異なります。

Xeonの世代と主な製品

以下に、Xeonの各世代における主な製品と特徴をまとめます。

P6世代

Drake: Xeon第一世代。Pentium IIをベースに、最大2MBのL2キャッシュを搭載。4CPUまでのSMPをサポート。
Tanner: Katmaiをベースに、最大2MBのL2キャッシュを搭載。4CPUまでのSMPをサポート。
Cascades: Coppermineと同等の性能を持つワークステーション向けプロセッサー。2CPUまでのSMPをサポート。
Cascades-MP: マルチプロセッサー向け。4〜8CPUまでのSMPをサポート。

NetBurst世代

Foster: Willametteをベースに、2CPUまでのSMPをサポート。
Foster-MP: Willametteをベースに、HTテクノロジと最大1MBのL3キャッシュを搭載。4CPUまでのSMPをサポート。
Prestonia: 2CPUまでのSMPをサポート。ハイパースレッディング・テクノロジーに対応。
Gallatin: Northwoodをベースに、HTテクノロジと最大4MBのL3キャッシュを搭載。4CPUまでのSMPをサポート。
Nocona: 90nmプロセスで製造。Intel 64に対応し、拡張版SpeedStepを搭載。
Irwindale: Noconaの後継。Intel 64とDemand Based Switchingに対応。
Cranford: Noconaをベースにマルチプロセッサー向けに改良。
Potomac: Prescottをベースに、最大8MBのL3キャッシュを搭載。
Paxville: デュアルコアXeon。デュアルプロセッサー向けとして発売されたが、後にマルチプロセッサー向けのPaxville-MPが登場。
Paxville-MP: 4way以上のマルチプロセッサー向けデュアルコアXeon。
Dempsey: Preslerをベースにしたワークステーション、サーバ向けプロセッサー。
Tulsa: 各コアに1MBのL2キャッシュと、最大16MBの共有L3キャッシュを搭載したマルチプロセッサー向けXeon。

Pentium M世代

Sossaman: Core Duoをベースにしたデュアルコアプロセッサー。低消費電力、低発熱が特徴。

Core世代

Conroe: デスクトップ向けCore 2 Duoとほぼ同等。
Kentsfield: デスクトップ向けCore 2 Quadとほぼ同等。
Woodcrest: ワークステーション・サーバー向けデュアルコアプロセッサー。Intel 64に対応。
Clovertown: クアッドコアプロセッサー。2つのWoodcrestダイを一つにした構成。
Tigerton: Coreマイクロ[[アーキテクチャ]]を採用したXeon MP。デュアルコアとクアッドコアモデルが存在。
Wolfdale: Conroeの後継。45nmプロセスで製造。
Wolfdale-CL: LGA771版。
Wolfdale-DP: Woodcrestの後継。
Yorkfield: Kentsfieldの後継。
Yorkfield-CL: LGA771版。
Harpertown: Clovertownの後継。45nmプロセスで製造。
Dunnington: IA-32初の6コアプロセッサー。

Nehalem世代

Lynnfield: メインストリーム向けNehalem。CPUにノースブリッジ機能を統合。
Bloomfield: Core i7と同じ基本構造を持つが、ECCメモリに対応。
Jasper Forest: Lynnfieldをベースとしたストレージ/組込機器向けDP/UP Xeon。
Nehalem-EP: CPUに3チャンネルのメモリコントローラを内蔵。
Nehalem-EX: Dunningtonの後継。Itanium 2とのCPUバスの共通化を目指した製品。

Westmere世代

Clarkdale: エントリー向けWestmere。CPUにノースブリッジ機能を統合。
Gulftown: Bloomfieldの後継。6コア12スレッドに対応。
Westmere-EP: Nehalem-EPの後継。6コア12スレッドに対応。
Westmere-EX: Nehalem-EXの後継。最大10コア20スレッドに対応。

Sandy Bridge世代

Sandy Bridge-DT: エントリー向け。一部モデルはGPUを内蔵。
Sandy Bridge-EN: E5-2400ファミリー。
Sandy Bridge-EP: E5-2600およびE5-4600ファミリー。

Ivy Bridge世代

Ivy Bridge-DT: エントリー向け。一部モデルはGPUを内蔵。
Ivy Bridge-EN: LGA1356ソケット。
Ivy Bridge-EP: E5-1600 v2、E5-2600 v2、E5-4600 v2。
Ivy Bridge-EX: 最大15コア。

Haswell世代

Haswell-H:
Haswell-DT: LGA1150ソケット。
Haswell-EN: LGA1356-3ソケット。
Haswell-EP: E5-1600 v3、E5-2600 v3、E5-4600 v3。最大18コア。
Haswell-EX: E7-4800 v3とE7-8800 v3。最大18コア。

Broadwell世代

Broadwell-H:
Broadwell-DT: Xeon E3-1200 v4。
Broadwell-DE: Xeonシリーズ初のSoC。
Broadwell-EP: LGA2011-v3ソケット。
Broadwell-EX: E7-4800 v4とE7-8800 v4。最大24コア。

Skylake世代

Skylake-H:
Skylake-S: LGA1151ソケット。C232/C236チップセットが必要。
Skylake-D: Xeon D-2100。
Skylake-X: LGA2066ソケット。
Skylake-W: LGA3647ソケット。
Skylake-SP: Xeon Platinum、Gold、Silver、Bronze。

Kaby Lake世代

Kaby Lake-H:
Kaby Lake-S: LGA1151ソケット。

Coffee Lake世代

Coffee Lake-H:
Coffee Lake-S: Xeon E-2100、E-2200。LGA1151v2ソケット。

Comet Lake世代

Comet Lake-H:
Comet Lake-S: LGA1200ソケット。

Cascade Lake世代

Cascade Lake-X: W-2200シリーズ。LGA2066ソケット。
Cascade Lake-W: W-3200シリーズ。LGA3647ソケット。
Cascade Lake-SP: Xeon スケーラブルプロセッサー。
Cascade Lake-AP:

Cooper Lake世代

Cooper Lake-SP: Xeon Platinum。LGA4189ソケット。

Rocket Lake世代

Rocket Lake-S: W-1300系、E-2300系。LGA1200ソケット。

Ice Lake世代

Ice Lake-D: D-1700/D-2700、D-1800/D-2800シリーズ。
Ice Lake-W: W-3300シリーズ。LGA4189ソケット。
Ice Lake-SP: 10nmプロセスで製造。LGA4189ソケット。

Tiger Lake世代

Tiger Lake-H: PCI Express 4.0とThunderbolt 4をサポート。

Sapphire Rapids世代

Sapphire Rapids-W: W-2400系、W-3400系。LGA4677ソケット。
Sapphire Rapids-SP: 第4世代Xeon SP。LGA4677ソケット。
Sapphire Rapids-HBM: HPC向け。

Raptor Lake世代

Raptor Lake-S: E-2400シリーズ。LGA1700ソケット。

Emerald Rapids世代

Emerald Rapids-SP: 第5世代Xeon SP。LGA4677ソケット。

Granite Rapids世代

Granite Rapids-AP: LGA7529ソケット。

Sierra Forest世代

* Sierra Forest-SP: LGA4710ソケット。

まとめ

Intel Xeonは、サーバーやワークステーション向けに高性能と信頼性を提供するCPUブランドです。その進化の歴史は、コンピューティング技術の進歩と密接に結びついており、常に最新のテクノロジーを搭載しています。多岐にわたるラインナップと世代の製品は、多様なニーズに対応し、プロフェッショナルな環境を支えています。

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