LAME

LAME（レイム）は、MP3形式への変換を行うための、オープンソースのアプリケーションソフトウェアです。GNU LGPLのライセンスの下で配布されており、無料で利用できます。その名称は「LAME Ain't an MP3 Encoder」という再帰的な頭字語に由来しています。1998年の開発開始以来、長年にわたり進化を続けています。

LAMEの特徴

LAMEは、MP3エンコーダの中でも特に高品質な出力を生み出すことで知られています。そのため、多くのエンコーダがLAMEのソースコードを基盤としており、LAMEを採用したエンコーダは、他のエンコーダと比較して高品質なMP3ファイルを生成できると評価されています。

また、バージョン3.90からは、MP3ファイル間のギャップ（無音部分）をなくすギャップレス再生をサポートしています。このギャップレス再生に対応しているエンコーダは、LAMEとiTunesのみです。これは、LAMEの高い技術力と品質へのこだわりを示す一例と言えるでしょう。

LAMEは、オープンソースコミュニティによって開発が進められてきました。当初は、Mike Cheng氏による8hz-mp3に対するパッチとして配布されていましたが、1998年10月4日にリリースされたバージョン2.0以降、ISOのサンプルコードを改良する形に開発体制が移行しました。これにより、LAMEはパッチではなく、完全なソースコードとして配布されるようになりました。その後も開発は進み、2000年5月8日にリリースされた3.81 Betaでは、ISO由来のコードが完全に削除され、LAME独自のコードベースとなりました。

オープンソースであるため、LAMEは様々なオペレーティングシステム（OS）で動作することが大きな特徴です。UNIXやUnix系OSはもちろんのこと、Windows、Amiga、OS/2、BeOSといったOS、さらには疑似コンソールを使用したClassic Mac OS用のアプリケーションも存在します。これは、LAMEの移植性と汎用性の高さを示しています。

推奨ビットレートは192kbps以上とされていますが、以前はVorbisの128kbpsに音質面で及ばないとの評価もありました。しかし、バージョン3.88betaで新しい心理音響モデルであるnspsytuneが導入され、可変ビットレート（VBR）モードの改良も行われるなど、継続的な品質向上の努力が重ねられてきました。これらの成果は、Hydrogenaudioで行われた複数のリスニングテストで実証されています。

また、LAMEから派生したエンコーダとして「午後のこ〜だ」があります。これは、LAMEをベースにMMX、SSE、3DNow!といったx86プロセッサ向けのSIMD命令を積極的に用いて最適化を行ったものです。エンコード速度が非常に高速である一方、ベースとなっているLAMEのバージョンが古い（3.88）ため、近年の音質向上の試みが反映されていないという側面もあります。しかし、午後のこ〜だの成果の一部は、評価版として配布されていたLAMEバージョン4.0に取り入れられ、さらにLAME 3.98 beta 1に本格的に導入されるなど、LAME本体の開発にも貢献しています。

さらに、Mike Cheng氏によるMPEG Audio Layer 2のエンコーダであるTooLAME（現:TwoLAME）も、1998年11月7日にリリースされており、LAMEの技術が他のエンコーダにも影響を与えていることがわかります。

バージョン3.97をマルチスレッド化して高速化しようという試みもありましたが、ビットリザーバが無効になるなど音質面での欠点があり、ベンチマーク以外での普及には至りませんでした。このことから、LAMEの開発は高速化だけでなく、音質を重視していることがうかがえます。

LAMEは、その高品質なエンコード性能、オープンソースとしての柔軟性、そして継続的な開発努力により、多くのユーザーに支持されているMP3エンコーダです。現在でも、より高品質なMP3ファイルを作成するための標準的なツールとして広く利用されています。

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