LANTIRN

LANTIRNシステムについて

LANTIRN（Low Altitude Navigation and Targeting Infrared for Night）は、アメリカのロッキード・マーティンが開発した、航空機に搭載される夜間低高度航法および標的指示のための赤外線システムです。この技術は、1980年代から1990年代にかけて多くの戦闘機に導入され、特に湾岸戦争の際にその効果が証明されました。

概要と構成

LANTIRNシステムは、主に二つのポッド、AN/AAQ-13航法ポッドとAN/AAQ-14照準ポッドから成り立っています。この組み合わせにより、夜間や悪天候時でも精密なナビゲーションと目標攻撃が可能になります。F-16やF-14といった戦闘機への搭載が進んでおり、機体によっては必要なポッドのみを搭載する運用も行われています。

例えば、F-16においては航法ポッドのみの運用もあり、またF-14では照準ポッドだけを使用するケースもありました。1990年代の中盤に計画されていたA-10やB-1Bによる導入は、予算の都合で実現しませんでした。現在、アメリカ空軍ではAN/AAQ-13航法ポッドが主に使用されており、AN/AAQ-14照準ポッドは、後継のAN/AAQ-33|AN_AAQ-33への移行が進められています。

開発の歴史

LANTIRNの開発は1980年に始まり、最初の契約がマーティン・マリエッタとアメリカ国防総省の間で結ばれました。1983年にはAN/AAQ-13とAN/AAQ-14の試作品が完成し、1985年に生産契約が成立しましたが、その後の開発の遅れにより量産型の納入は遅れがちでした。特にAN/AAQ-14の配備は限られた数であり、アメリカ空軍の特定の部隊に優先的に配分されました。このため、F-16など一部の機種では、精密誘導兵器の投資が予定されたほどの成果を上げることができませんでした。

AN/AAQ-13 航法ポッド

AN/AAQ-13は、LANTIRNシステムの中で重要な役割を果たす航法ポッドです。Kuバンドの地形追従レーダーと赤外線センサ（FLIR）が組み込まれており、高度約30mから特定のコースに沿って自動操縦できる機能を持っています。これにより、パイロットは低空での安全な飛行を行うことが可能になります。AN/AAQ-13は、今なお現役であり、後継のAN/AAQ-33|AN_AAQ-33やAN/AAQ-28と組み合わせて使用されています。

AN/AAQ-14 照準ポッド

AN/AAQ-14照準ポッドは、赤外線センサとレーザー発信機で構成され、視覚的な標的照準を行う能力を持っています。このポッドの小型化により、以前の大型機器に伴う運用上の問題が解消され、運用効率が向上しました。AN/AAQ-14は、その後AN/AAQ-33|AN_AAQ-33やAN/AAQ-28などの新型照準ポッドに取って代わられつつありますが、依然として信頼性の高いシステムです。

LANTIRNの対応機種と採用国

LANTIRNシステムは、いくつかの航空機に対応しており、F-14、F-15E、F-16の各機種で使用可能です。また、湾岸戦争後にはイスラエルとサウジアラビアにも輸出され、これらの国の空軍でも運用されています。特にイスラエルにはアメリカ軍と同じ仕様のシステムが供給され、高い評価を得ています。

仕様と価格

LANTIRNシステムの各ポッドには、異なるサイズと仕様があります。AN/AAQ-13の全長は1.99メートル、重量は約204.6kg、価格は約138万ドルです。一方、AN/AAQ-14は全長2.51メートル、重さ240.7kgで、単価は約360万ドルとなっています。これらのシステムは、高度な戦闘能力を持つ航空機の重要な武器として位置付けられています。

結論

LANTIRNシステムは、航空機の夜間及び低高度での航法能力を飛躍的に向上させる技術であり、アメリカ軍のみならず多くの国の空軍で重要視されています。高精度のナビゲーションとターゲティング機能を持つこのシステムは、今後も航空軍事作戦の一端を担うことでしょう。

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