LAST TOUR AROUND JAPAN YUTAKA OZAKI

LAST TOUR AROUND JAPAN YUTAKA OZAKI

『LAST TOUR AROUND JAPAN YUTAKA OZAKI』（ラスト・ツアー・アラウンド・ジャパン ゆたか・おざき）は、日本の才能溢れるアーティスト、尾崎豊の息吹を閉じ込めた貴重なライブ・アルバムです。

リリース背景

音楽活動を一時休止し、新たなレーベルへ移籍した後、尾崎豊は1990年に渾身の2枚組アルバム『誕生』を発表し、本格的な音楽活動を再開させました。このアルバムを携え、彼は翌1991年に「YUTAKA OZAKI TOUR '91 "BIRTH"」と題した全国ツアーを敢行します。このツアーは、アルバム『誕生』の世界観を軸に構成され、全国37ヶ所、実に56公演にも及ぶ大規模なものでした。本作は、その膨大な公演記録の中から、特に優れた演奏テイクを選りすぐって集めたライブ音源集となっています。

本作の制作には、長年尾崎豊の音楽を支えてきた音楽プロデューサー、須藤晃氏の発見が深く関わっています。須藤氏が東京を離れて郷里に戻るにあたり、尾崎豊関連の資料を整理していた際、当時のツアーで各公演を記録したDATテープが大量に見つかったというのです。この偶然の発見こそが、これらの貴重な音源を改めて整理し、一つの作品として世に送り出すきっかけとなりました。

音源の特長

このアルバムに収録された音源は、一般的な商業用ライブレコーディングのように、マルチトラックで収録し、後からスタジオで複雑なミキシングや加工を施したものではない点に最大の特徴があります。須藤氏自身が語るところによれば、「これらの音源には一切手を加えていない。それはまさしく、その日、それぞれの会場で響いていた音そのものだ」といいます。コンサート会場で聴衆が耳にした音、ステージから直接出力されたシンプルなサウンドをそのまま収録しているのです。これは、レコーディングを前提とした演奏ではない、純粋なライブパフォーマンスだからこそ実現したものです。須藤氏は、「今日はレコーディングしますからという前提がないぶん、彼の（尾崎の）持つ思い切りや躍動感がより生々しく伝わってくる」と述べており、アーティストの熱量や瞬間の閃きがダイレクトに記録された、臨場感あふれるサウンドが本作の魅力となっています。

構成と内容

アルバムの収録曲は、ツアーで披露された楽曲の中から、プロデューサーである須藤晃氏が厳選した全16曲が収められています。これらはCD2枚組として構成され、各会場での熱演が網羅されています。

初回生産限定盤には、ファンにとって嬉しい特典が付属しました。写真家・田島照久氏がこの「BIRTH」ツアーに帯同して撮影した、珠玉の瞬間を捉えた52ページにおよぶ豪華なフォトブックが同梱されており、音源だけでなく視覚的にも当時の尾崎豊の姿を追体験できるようになっています。

参加ミュージシャン

このツアーを共に回ったのは、尾崎豊率いる「THE BIRTH TOUR BAND」です。当時のバンドメンバーは以下の通りです。

尾崎豊：ボーカル、ギター、ピアノ
西本明：キーボード
長田進：ギター
鈴川真樹：ギター
渡辺茂：ベース
滝本季延：ドラムス
里村美和：パーカッション
関誠一郎：サクソフォーン、キーボード
岩本章江：コーラス
山根栄子：コーラス

彼らが一体となって創り出すサウンドが、尾崎豊のメッセージとパフォーマンスを力強く支えていました。このアルバムは、『誕生』という作品のライブにおける深化、そして当時の尾崎豊とバンドの圧倒的なエネルギーを、一切の加工なしに伝える貴重な記録と言えるでしょう。

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