LIBRIe

LIBRIé（リブリエ）とは

LIBRIé（リブリエ）は、2004年にソニーから発売された、世界で初めてE Ink方式の電子ペーパーを採用した電子書籍リーダーです。「LIBRIé」という名称は、スペイン語の「Libro」（本）や「Libreria」（書店）といった言葉と、e-Bookの「e」を組み合わせた造語です。

2004年4月24日に「EBR-1000EP」として発売され、2007年5月に生産を終了しました。電子書籍配信サイトの「Timebook Town」も2009年2月にサービスを終え、LIBRIéは市場から姿を消すこととなりました。

製品概要

LIBRIéは、6インチ、800×600ドットのモノクロ4階調のE Ink方式電子ペーパーをディスプレイに採用しています。液晶ディスプレイに比べて低消費電力であり、目に優しい画面表示が特徴でした。

データの転送は、専用のランチャーソフトをインストールしたWindows PCから、メモリースティックまたはUSB接続で行いました。インターネット接続機能は搭載されていませんでした。

閲覧可能なファイル形式は、ソニーが開発した電子ブック規格であるBBeB（Broad Band eBook）形式の電子書籍のみでした。著作権保護技術にはOpenMGが採用されています。BBeB形式は、当時発売されていたソニー製の電子辞書にも採用されていました。

また、Windows用のプリンタードライバー「Printer for Librie」が無償で提供され、アプリケーションから印刷するのと同じ操作でLIBRIéにデータを転送することが可能でした。これにより、印刷可能なデータであればLIBRIéで閲覧することができました。ただし、動作保証OSはWindows XPのみで、Windows VistaやWindows 7には対応していませんでしたが、互換モードでの動作報告もありました。

電子書籍配信サイト「Timebook Town」

LIBRIéのコンテンツは、ソニーと出版社各社が出資したパブリッシングリンクによって運営されていた電子書籍配信サイト「Timebook Town」を通じて配信・販売されていました。配信形式は、閲覧期間を定めたレンタル形式で、購入決済後、ランチャーソフトにデータをダウンロードして閲覧する方式でした。レンタル期間中はパソコン上でも閲覧可能でした。

レンタル期間は基本的に60日間で、期間を過ぎると閲覧できなくなる仕組みでした。2005年4月からは、会員期間中であれば閲覧可能な「Long Timebookサービス」も一部書籍に対して提供されました。

配信タイトルは、パブリッシングリンクに出資していた講談社・角川書店・新潮社などに偏っており、小学館や集英社などの出版社の作品は扱われませんでした。しかし、講談社は1990年代以降に出版された講談社コミックスを積極的にデジタル化し、配信していました。

パブリッシングリンクは、その後携帯コミックの制作・配信事業も行うようになり、2007年に「タイムブックタウン」として分社化され、ソニー全額出資となりました。

しかし、Timebook Townは2008年4月1日にコンテンツ販売を終了し、2009年2月28日に全サービスを終了しました。サービス終了に伴い会員情報も削除されたため、購入済みの電子書籍も閲覧できなくなりました。

評価と影響

初代Amazon Kindleの開発責任者の一人であるジェイソン・マーコスキー氏は、Kindleの開発にあたり、E Inkディスプレイやブックマーク、ページめくりなどの基本機能はソニーのリーダーを参考にしたと述べています。

一方、日本でLIBRIéが撤退した理由について、ソニーのCFOだった大根田伸行氏は、日本では携帯電話文化が強く、新刊の電子書籍化が進まなかったことを挙げています。

後継サービス

2006年9月には、LIBRIéの姉妹機となるソニー・リーダーがアメリカで発売されました。LIBRIéのコンテンツがレンタル方式だったのに対し、ソニー・リーダーは買い切り方式で提供され、BBeBに加え、PDF、Microsoft Word、EPUB、テキストファイルの閲覧が可能でした。また、メモリースティックとSDメモリーカードの両方が使えるようになりました。ソニー・リーダーは、2008年からヨーロッパでも発売が開始され、日本では2010年12月に発売されました。

2009年8月には、アメリカのSony Electronics社がBBeBから完全に撤退し、ePub形式のファイルフォーマットに移行することを発表しました。LIBRIéは、電子書籍リーダーの黎明期を彩った一台として、その技術やコンセプトは後の電子書籍リーダーに大きな影響を与えました。

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