LK II

軽戦車LK II：第一次世界大戦末期のドイツが生んだ革新的戦車

Leichter Kampfwagen II（ライヒター カンプ(フ)ヴァーゲン ツヴァイ）、通称LK IIは、第一次世界大戦中にドイツで開発された軽戦車です。その名前が示す通り、「軽量戦闘車両」として設計され、戦場での機動性と火力を両立させることを目指しました。

開発の背景と概要

1918年6月、クルップ社でLK Iの試作車がテストされ、その10日後には改良型であるLK IIが発注されました。設計はヨーゼフ・フォルマーが担当し、LK Iと同様に、前方にエンジン、後方に戦闘室を配置するレイアウトが採用されました。車体は鋲接構造で、操縦席はドイツ仕様では左側、スウェーデン仕様では右側にありました。

各種バリエーションと武装

LK IIには、主砲として57mm砲、37mm砲、そして機関銃を搭載した複数のバリエーションが存在しました。57mm砲搭載型は、車体後部に固定砲塔を設け、マキシム・ノルデンフェルト57mm砲を搭載。しかし、射撃試験で車体の問題が発覚し、最終的には37mm砲または機関銃を搭載することになりました。機関銃装備型は、7.92mm重機関銃を回転砲塔と車体に搭載し、追加の機銃マウントも備えていました。

構造と特徴

車体は8～14mmの装甲で保護され、ダイムラー製のガソリンエンジンを搭載。足回りは多数の小転輪を組み合わせたボギー式サスペンションを採用し、機動性を確保しました。履帯の突出を抑え、車体側面には泥落とし用の溝が設けられました。量産車には牽引フックが追加され、故障車両の牽引や砲の運搬にも利用できました。

実戦参加と終戦

LK IIは580両が発注されましたが、終戦までに完成することはありませんでした。そのため、実戦に参加した記録は残っていません。

戦後の運用

第一次世界大戦後、ドイツは戦車製造を禁止されたため、LK IIはスウェーデンとハンガリーに密かに売却されました。

スウェーデンでの運用

スウェーデンは10両分の部品を購入し、「Stridsvagn m/21」として組み立てました。その後、ルノー FT-17の砲を搭載するテストも行われましたが、最終的には機関銃を装備した仕様で運用されました。また、「Stridsvagn m/21-29」として、エンジンの改良や電気照明の追加が行われ、さらに近代化されました。

ハンガリーでの運用

ハンガリーは14両のLK IIを購入し、警察訓練学校に配備する予定でしたが、条約の制限により、隠匿されました。後に再組み立てされ、訓練用に使用されましたが、より近代的な車両が導入されると、時代遅れとみなされ、廃棄されました。

派生型

ライヒト・ツークマシーネ（軽砲牽引車/軽弾薬運搬車）

LK IIの車体を利用した、武装砲兵向けの軽装甲牽引車が提案されました。これは、馬の不足を補うためのものでしたが、LK IIの量産が優先され、計画は中止されました。

クライナー・シュトゥルムヴァグン（軽突撃戦車）

LK IIよりも大型の突撃戦車の計画も存在しました。これは機関銃または52mm戦車砲を搭載する予定でしたが、LK IIの生産決定により、こちらも計画は却下されました。

現存車両

現在、LK IIは4両が現存しています。そのうち1両はオリジナルの「Stridsvagn m/21」仕様で、残りの3両は「Stridsvagn m/21-29」仕様です。これらの車両は、スウェーデンやドイツの博物館で見ることができます。

まとめ

LK IIは、第一次世界大戦末期に開発された革新的な軽戦車であり、その後の戦車開発に大きな影響を与えました。実戦に参加することはありませんでしたが、戦後のスウェーデンやハンガリーでの運用を通じて、戦車の可能性を広げました。その設計思想や技術は、後の戦車開発にも活かされ、今日の戦車の基礎を築いたと言えるでしょう。

関連項目

• - Strv. m/21-29
• - Strv. m/31
• - 戦車一覧

外部リンク

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