LOVE MY LIFE

映画『LOVE MY LIFE』：レズビアン女性の繊細な成長と愛の物語

2006年秋に公開された映画『LOVE MY LIFE』は、祥伝社『FEEL YOUNG』で連載されたやまじえびねによる同名漫画を原作とする作品です。カナダのモントリオール国際LGBT映画祭で「20/20 VISION AWARD」を受賞するなど、高い評価を獲得しました。

本作は、18歳のレズビアンの女性、泉谷いちこの成長物語であり、同時に彼女を取り巻く恋愛模様を描いた作品でもあります。同性愛というテーマを、重苦しい雰囲気に陥ることなく、軽妙で爽やかなタッチで表現している点が大きな特徴です。東京と吉祥寺を主な舞台に、登場人物たちの日常が丁寧に描かれています。

映画音楽には、人気のガールズポップバンドの楽曲が効果的に使用されており、作品の雰囲気を盛り上げています。また、キャスティングにも注目すべき点があります。主人公の父親役に、人気作家である石田衣良を起用するという、意外性のある選択がなされました。さらに、主演の吉井怜と今宿麻美は、物語の中で重要な役割を果たすセミヌードやベッドシーンにも挑戦しています。

ストーリー：複雑な家族関係と、多様な人間関係の織りなす青春

主人公のいちこは、翻訳家を夢見て語学学校に通いながら、CDショップでアルバイトをしている18歳の女性です。母親を亡くした後、翻訳家として活躍する父親と二人暮らしをしています。彼女は、優秀な法学部に通うエリーと恋人関係にあります。エリーは将来弁護士になることを目指しており、文学にも造詣が深く、外国語の小説も難なく読みこなす才媛です。

ある日、いちこは父親にエリーを紹介するのですが、父親は驚くほどあっさりとした反応を示します。しかし、その直後、父親から衝撃的なカミングアウトが飛び出します。父親は、実は母親とゲイ／レズビアンの関係にあったことを告白するのです。両親の間には恋愛感情はなかったものの、子供を望むという共通の目的があったために、そのような関係になったと打ち明けます。

この告白の後、いちこは、父親の現在の恋人である編集者と会ったり、母親の元恋人やその現在の恋人である大学教授と偶然出会ったりするなど、様々な人間関係に巻き込まれていきます。アルバイト先では、モヒカンの女の子に惹かれるなど、いちこの感情は揺れ動きます。

学校では、ゲイであるタケと親しくしており、周囲からは恋人同士と誤解されています。そこで、いちことタケは、周囲の誤解を利用して、実際に恋人同士として振舞うことにしました。そんなある日、エリーが元カレと遭遇する事件が発生し、いちことエリーの間に波風が立ちます。しかし、セックスを通して二人は仲直りをします。エリーは、自身の過去のジェンダートラブルについてもいちこに打ち明けます。

さらに、学校では、タケのカミングアウトをきっかけに、ユカコがタケだけでなくいちこの同性愛にも理解を示すようになります。

一方、エリーは、父親から強い偏見の目で見られ、激しい葛藤を抱えています。クリスマスに、エリーは司法試験に受かるまで会わないことを提案し、二人はケンカ別れしてしまいます。

エリーとの連絡が途絶えたまま、年越しを迎えるいちこ。エリーの考え方を否定するいちこに対し、父親やタケから反対意見が飛び交います。そんな中、いちこは父親から翻訳の仕事を依頼され、その仕事に没頭するうち、エリーから電話がかかってきます。

再会を果たした二人。エリーは、いちこと会っていない間に「父を見返すため」ではなく「自分のため」に小説家になることを決意し、『LOVE MY LIFE』というタイトルの小説を執筆していたことを明かします。この小説は新人賞を受賞し、映画はハッピーエンドを迎えます。

キャストとスタッフ

映画には、吉井怜、今宿麻美、高橋一生、平岩紙など、実力派俳優陣が出演。監督は川野浩司、脚本は金杉弘子、原作はやまじえびねと、豪華なスタッフ陣が作品を支えています。

この映画は、レズビアン女性の成長と愛、そして家族や友人との複雑な人間関係を繊細に描いた、忘れられない作品です。

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