LPG船

LPG船の概要

LPG船（LPG carrier）またはLPGタンカー（LPG tanker）は、液化石油ガス（Liquefied Petroleum Gas、略称：LPG）を効率的に輸送するために設計された特殊な貨物船です。主にブタンやプロパンが液化され、これらのガスが輸送されます。LPGは家庭用や工業用の燃料として広く用いられており、その輸送方法としてLPG船が欠かせません。

分類

LPG船は主に使用される液化方法に基づいて二つの主要なタイプに分かれます。

1. 加圧式（圧力式）

加圧式は、石油ガスに高圧をかけて液化する方式です。この方法は、一般的に小型の内航LPG船に使用され、大容量のタンクを持つことが難しいため、特に近距離の輸送に適しています。加圧式LPG船は、比較的簡素な構造で建造が可能ですが、輸送能力には限界があるため、特定の用途に特化した船舶が多く存在します。

2. 冷却式（低温式）

冷却式は、石油ガスを冷却して液化させる方式です。プロパンは約-42度で液化することができ、そのためLNG船と比較すると技術的に扱いやすいとされています。このタイプのLPG船は、大型の外航船に多く見られ、その能力は高く、国際的な輸送に利用されています。

歴史的背景

アメリカでは加圧式のLPG船が1930年代に初めて登場しました。しかし、液体天然ガス（LNG）船の方が先に開発され、より高度な技術を用いて1958年に貨物船を改造した「メタン・パイオニア」が完成を見ました。

日本においては、1960年に建造された「第一えるぴい丸」が初の加圧式内航LPG船でした。その後、1962年には世界初となる本格的な冷却式外航大型LPG船「ブリヂストン丸」が造られ、これが新たな時代の幕開けを告げることとなりました。

また、1980年代までの期間には、LPGとナフサを兼用する船舶も存在しており、著名な事故で知られる「第拾雄洋丸」もLPG/ナフサ兼用船であったことは重要な歴史的意義を持っています。このように、LPG船はその発展段階において様々な技術的挑戦や歴史的事件を経てきました。

まとめ

LPG船は液化石油ガスを安全かつ効率的に運ぶための重要な輸送手段です。加圧式と冷却式の二つのタイプがあり、それぞれの特性を活かして使用されることから、LPGの需要が高まる中でその役割はますます重要になります。これまでの歩みと今後の技術革新により、さらなる進化が期待される分野です。

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