LUNA SEA (アルバム)

LUNA SEA：バンドの原点と輝きを刻んだデビューアルバム

1991年、日本の音楽シーンに彗星のごとく現れたLUNA SEA。その活動初期を象徴する作品が、彼らの1stオリジナルアルバム『LUNA SEA』である。このアルバムは、メジャーデビュー前のインディーズ時代、唯一のCD作品として、バンドの歴史に深く刻まれた重要な一枚と言えるだろう。XのYOSHIKI氏が主宰するExtasy Recordsよりリリースされたこの作品は、後にバンドの礎となる、彼らの情熱と才能が凝縮された内容となっている。

制作過程：情熱と試行錯誤の3週間

すべての楽曲がアルバム制作前にライブで演奏されていたという『LUNA SEA』。レコーディング期間はわずか3週間と短期間ながら、インディーズとしては破格の制作費が投じられた。メンバーの実家からの通いが困難だったため、国分寺のスタジオ併設の宿舎に寝泊まりしながら、まさに寝食を忘れて制作に没頭したというエピソードは、彼らの並々ならぬ情熱を物語っている。興味深いことに、メンバーは自らプロデュースすることを決意。経験不足から音質に課題を残すこととなったが、そのガムシャラな姿勢は、彼らの音楽に対する純粋な情熱を如実に表している。SUGIZO氏は、この頃の制作期間を「あの頃が一番楽しかった。ガムシャラだったけど、すごく純粋だったから」と振り返っている。ジャケット写真は真冬の井の頭恩賜公園で撮影され、その寒さが作品に独特の雰囲気を与えている。

楽曲解説：多様な魅力が詰まった珠玉の10曲

アルバムには、後のLUNA SEAの代表曲となる楽曲が多数収録されている。冒頭を飾る「FATE」はわずか1分20秒と短いながらも、ツインペダルを駆使したダイナミックな演奏が聴きどころ。Jが初めて作曲したという「TIME IS DEAD」は、現在もライブの定番曲として愛され続けている。クリーントーンと歪んだギターの組み合わせが印象的な「SANDY TIME」は、ライブではSUGIZO氏のギターソロが大きくアレンジされ、攻撃的なパフォーマンスが展開される。情事をテーマにした「BRANCH ROAD」、2ビートの中に3拍子が現れる独特な構成の「SHADE」、そして村上龍の小説からタイトルとテーマを採り、麻薬中毒を扱った衝撃的な「BLUE TRANSPARENCY 限りなく透明に 近い ブルー」など、バラエティに富んだ楽曲が収録されている。「THE SLAIN」と「CHESS」は、時計の音やプロペラの音など効果音が巧みに使用され、楽曲間の繋がりを演出。特に「CHESS」は、LUNA SEAの中でも最速のテンポを誇る。そして、4分の3拍子の美しいメロディーが印象的な「MOON」と、初期からライブで演奏され続けてきた「PRECIOUS...」は、バンド初期の代表曲として、多くのファンを魅了し続けている。これらの楽曲は、後に再録音されたり、カバーされたりと、LUNA SEAの歴史において重要な役割を果たしている。

2007年、2011年の再発：リマスタリングとセルフカバー

2007年には、最新リマスタリング音源と「MOON」「PRECIOUS...」のライブ映像（1991年9月19日日本青年館公演）を収録した2枚組でユニバーサルミュージックより再発された。そして2011年には、全曲を再録音したセルフカバーアルバムがリリースされた。エイベックス移籍後第1弾として発売されたこのアルバムは、2ndデモテープ「SHADE」の復刻版カセットテープやツアーTシャツが同梱された豪華仕様も存在した。このセルフカバー盤は、LUNA SEA再始動後最初のCD作品であり、2000年のベストアルバム以来約10年ぶりの新作として、多くのファンを喜ばせた。DVDには、「LUNACY 黒服限定GIG ～the Holy Night～」の映像を中心に編集された「SHADE-EXTREME CLIP」が収録されている。セルフカバー盤では、楽曲の構成が変更されたり、『IMAGE』収録バージョンで再録されたり、楽曲アレンジに変化が見られるのも大きな特徴となっている。

結論：バンドの原点と進化を凝縮した作品

『LUNA SEA』は、LUNA SEAの音楽的原点と、その後の進化を垣間見ることができる、非常に重要な作品である。彼らの初期の情熱と才能、そして音楽性の多様性が凝縮されたこのアルバムは、LUNA SEAの歴史を知る上で欠かせない一枚と言えるだろう。初期のライブ映像やセルフカバー盤の存在も合わせて、彼らの音楽遍歴を深く理解する上で貴重な資料となるだろう。 それぞれの楽曲に込められた想いや、レコーディングエピソードを知ることで、より深くこのアルバムの魅力を堪能することができるだろう。

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