LUNACY

LUNA SEAの最高傑作『LUNACY』：時間と情熱が凝縮された、バンドの集大成

LUNA SEAの7枚目のオリジナルアルバム『LUNACY』は、2000年にリリースされた彼らの代表作の一つです。バンドの活動休止前、最後のオリジナルアルバムとして、1年間という長期間にわたる制作期間を経て完成しました。

このアルバムは、SUGIZOの提案による期間無期限のレコーディング体制の下で制作されました。そのため、LUNA SEAの他のアルバムと比較しても、特に時間と情熱が注がれた作品と言えるでしょう。メンバーのINORANは当時のインタビューで、このアルバムについて「いつでも始まりだし、今、終わってもいい。そのぐらいのアルバムになったと思います。ラスト・アルバムにしていいぐらいの出来」とコメントしており、その完成度の高さが伺えます。

『LUNACY』の特筆すべき点は、その発表方法にもあります。2000年5月23日、日本武道館で行われたライブ『PREMIERE of LUNACY 2000』で、アルバム収録曲が全て初披露されました。このライブでは、アンコールを含め2000年リリースの楽曲のみが演奏され、関係者にも事前にアルバムのタイトルや収録曲は知らされていませんでした。まさにサプライズでの発表となり、ファンに大きな衝撃を与えました。

さらに、アルバムのサウンド面にも注目すべき点があります。 『Sweetest Coma Again』と『KISS』の2曲には、DJ KRUSHが参加しています。DJ KRUSHは、以前からSUGIZOとINORANのソロ作品にも参加しており、LUNA SEAメンバーと深い関係を持っていました。彼独特のサウンドが、アルバムに新たな魅力を加えています。『Sweetest Coma Again』は映画『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』の日本版テーマ曲にもなりました。

各楽曲にも様々な工夫が凝らされています。『Be Awake』では、複数のライブ会場でのファンの歓声をサンプリングして使用し、ライブの熱気を再現しています。『4:00AM』では、携帯電話の着信音やダミーヘッドを使った立体音響が用いられ、臨場感あふれるサウンドを実現しています。『VIRGIN MARY』は9分を超える大作で、ヴァイオリンやドラムの多重録音など、複雑な構成になっています。『white out』では、SUGIZOのブレスレットが擦れる音がミックスされており、細部までこだわったサウンドプロダクションが施されています。他にも『a Vision』ではラップを取り入れ、『FEEL』ではSUGIZOによるヴァイオリンソロが聴けるなど、バラエティ豊かな楽曲が収録されています。

『LUNACY』は、単なる音楽作品というだけでなく、LUNA SEAというバンドの集大成、そして彼らが積み重ねてきた音楽性と創造性の結晶と言えるでしょう。その完成度の高さ、そしてサプライズに満ちた発表方法、そして各楽曲に込められた様々な工夫は、今もなお多くのファンを魅了し続けています。アルバムは2007年にはリマスター盤とミュージックビデオを収録したDVDとの2枚組で再発され、より多くの人にその魅力を伝える形となりました。音楽史に残る名盤として、これからも語り継がれていくことでしょう。

もう一度検索