LUNAR-A

LUNAR-A：日本の月探査機

LUNAR-A（ルナーA）は、宇宙航空研究開発機構（JAXA）が手がけていた日本初の本格的な月探査機です。このプロジェクトは、月面の内部構造を探るために「ペネトレータ」と呼ばれる特殊な観測装置を使用することが主な目的とされていました。1995年に打ち上げられる計画でしたが、様々な要因によって大幅に遅延し、2007年には計画の中止が発表されました。

LUNAR-Aの特徴と目的

LUNAR-A計画は、日本における本格月探査の先駆けと位置づけられており、それまでの日本の探査機（ひてんやはごろもなど）は、月の周回軌道での技術習得や宇宙塵の観測程度に留まっていました。LUNAR-Aは月面にペネトレータを落下させることで、月の地中約2メートルの深さまでの情報を得ようとした点が特徴です。

このペネトレータには、地震計と熱流量計が搭載されており、月の内部構造や熱の変動を調べることが期待されていました。また、母機は月の周回軌道を周りつつ、ペネトレータからデータを収集し、月表面をカメラで撮影する役割も果たしました。計画では、約1年間にわたって観測することが予定されていました。これにより、月の起源や進化に関する重要なデータを収集することが目指されていました。

探査機開発の遅延

LUNAR-Aの開発は1991年に始まりましたが、様々な技術的課題が発生し、当初予定されていた1995年の打ち上げは実現しませんでした。ペネトレータの開発に時間がかかり、推進剤やスラスターのリコール問題も影響し、2004年以降は打ち上げ時期が未定の状態が続きました。さらに、LUNAR-Aを打ち上げる予定だったM-Vロケットが廃止される決定がなされ、打ち上げ手段自体が不透明に。その結果、計画の見通しが暗くなり、2007年には中止の方針が発表されました。

計画の終焉と今後の展望

2007年1月にJAXAはLUNAR-Aの計画中止を正式に発表し、別の方策による月探査を目指すことになりました。ペネトレータ自体の開発は一定の成果を上げていたため、その技術は他のプロジェクトに転用されることが検討されました。特に、ロシアのルナグローブ計画には、日本で開発されたペネトレータを搭載する案が浮上しましたが、最終的にはタイミングが合わず、実現には至りませんでした。

また、LUNAR-A計画で開発された地震計は、2028年に打ち上げ予定のNASAの探査機「ドラゴンフライ」に採用され、観測装置の一部として利用されることになりました。さらに、ペネトレータは南極など人跡未踏の地域での観測にも応用されています。今後も月や惑星探査におけるペネトレータの利用が模索されることでしょう。

このように、LUNAR-A計画の中止は残念な結果となりましたが、その開発された技術や経験は今後の宇宙探査に生かされ続けることが期待されています。

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