LispWorks

LispWorksは、英国LispWorks社によって開発されたCommon Lisp処理系および統合開発環境（IDE）です。元々はHarlequin社によって開発が開始され、1989年に最初のリリースが行われました。当初、Common Lisp処理系単体はHarlequin Common Lispという名称でしたが、現在では処理系とIDEの両方を合わせてLispWorksと呼ぶのが一般的です。

その後、Harlequin社はLisp部門をXanalys社として分社化し、LispWorksの管理と権利を移管しました。2005年1月には、XanalysのLispチームがLispWorks社として独立し、ソフトウェアの販売、開発、サポートを継続して行っています。

特徴

LispWorksは、Common Lisp開発環境として非常に完成度が高いことで知られています。その主な特徴は以下の通りです。

高度な連携: Common Lisp処理系と開発環境が密接に連携しています。これは、処理系単体ではなく、開発環境全体として設計が開始されたことに起因します。
CAPIによるマルチプラットフォーム対応: CAPI（Common Application Programming Interface）を基盤としており、Windows、macOS（Cocoa）、GTK+、Motifといった複数のプラットフォームで共通のルック・アンド・フィールを実現しています。
高度な並列処理: ネイティブスレッドとSMP（対称型マルチプロセッシング）に対応しており、並列処理が可能です。
Unicodeサポート: Unicodeをサポートしており、多言語対応のアプリケーション開発が可能です。
柔軟なデプロイ: 単体実行ファイルやシェアードライブラリの生成機能に加え、不要な機能を取り除くツリー・シェーカー機能も備えており、軽量なアプリケーションを開発できます。
豊富な他言語インターフェイス: C、Java、Objective-C（macOS）などの他言語とのインターフェイスを備えており、既存のシステムとの連携が容易です。
Emacs系エディタ: Common Lispで実装されたEmacs系のエディタ（Hemlockに由来）が統合されており、Lispプログラマーにとって使い慣れた環境を提供します。

アドオン

LispWorksには、機能を拡張するためのさまざまなアドオンが用意されています。主なアドオンは以下の通りです。

CLIM 2.0 (Professional版): グラフィカルユーザーインターフェースを構築するための高度なツールキットです。
Common SQL (Enterprise版): データベースアクセスを容易にするためのツールです。
KnowledgeWorks (Enterprise版): 知識ベースシステムを構築するための高度なツールです。
Common Prolog: Prolog言語をサポートする機能です。
OPS5 compatible forward chaining: OPS5互換の前向き推論をサポートします。
LispWorks ORB (CORBA) (Enterprise版): 分散オブジェクト環境を構築するためのCORBA（Common Object Request Broker Architecture）をサポートします。
LispWorks for Mobile Runtime: モバイル環境でLispWorksアプリケーションを実行するためのランタイム環境です。

LispWorksは、Common Lispを使った高度なアプリケーション開発に最適な環境を提供します。その洗練された開発環境と豊富な機能は、プロフェッショナルな開発者にとって強力なツールとなるでしょう。

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