M (架空の人物)

M（映画・小説における役割）

Mは、イアン・フレミングによるジェームズ・ボンドシリーズに登場する架空のキャラクターであり、イギリス情報局秘密情報部（MI6）の長を務めています。Mは、シリーズ全体を通じて重要な存在であり、フレミングの作品だけでなく、その後の作家たちによる作品でも登場し、映画シリーズでは24回にわたり登場しました。特に、有名なイーオン・プロダクションズによる映画シリーズでは、バーナード・リーやジュディ・デンチなど、さまざまな俳優がMを演じてきました。

背景

Mのキャラクターは、第二次世界大戦中に英海軍情報部の部長を務めたジョン・ヘンリー・ゴドフリー提督を基に創造されました。フレミング自身、戦争中に英軍のエージェントとして活動しており、ゴドフリーは彼の上司であったため、Mのキャラクターにも影響を与えたと言われています。フレミングの死後、ゴドフリーはMの描写に対して不平を漏らしたことがあります。

小説における登場

イアン・フレミングの小説において、Mは1953年の『カジノ・ロワイヤル』から1966年の作品まで、全ての長編小説と短編集に登場します。最初に登場するのは、『カジノ・ロワイヤル』の第2章で、ボンドに関する提案を評価するシーンです。続く作品では、Mのイニシャルが限られている中で、様々な形でボンドとの対話が描かれています。特に『ゴールドフィンガー』や『日本で行方不明となったボンド』の話が有名です。

Mは、公式に「海軍中将サー・マイルズ・メッサヴィー」として知られ、また、秘密情報部の長官として厳格な規律を持つキャラクターです。私生活についての描写は少なく、彼の周囲にいるのは主に使用人のハモンド夫妻や秘書のミス・マネーペニー、そして幕僚主任のビル・タナーです。ボンドに対しては「007」と呼ぶも、私的な場面での神秘的な関係が強調されています。

映画における描写

Mのキャラクターは、映画版でも非常に重要であり、さまざまな俳優によって演じられています。バーナード・リーは1962年の『ドクター・ノオ』から1979年の『ムーンレイカー』までMを演じました。彼の死後、ロバート・ブラウンがその役を引き継ぎ、1983年から1989年にかけてMを演じました。ジュディ・デンチは1995年から2012年までMを演じ、新たな時代のMとして登場しました。彼女は特に『スカイフォール』での重要な役割が印象的です。

レイフ・ファインズは2012年の『スカイフォール』で新たなMとなり、MI6の新たな時代を担うキャラクターとして描かれています。映画と小説の両方で、多様な役割を果たし続けるMの存在は、ボンドシリーズの魅力を示す要素となっています。

非イーオン作品

また、イーオン・プロ以外の作品においてもMは重要な役割を果たしています。1967年のコメディ映画『007 カジノロワイヤル』では、ジョン・ヒューストンがMを演じ、1983年にはエドワード・フォックスがMとして登場しました。これにより、Mのキャラクターは多様な解釈がなされ、多くの視点から楽しむことができます。

結論

Mは、情報機関の上層部として冷徹さと洞察力を併せ持つキャラクターであり、ボンドの冒険を影で支える重要な存在です。その背景や性格についての深い描写が、小説と映画を通じて多くの読者や視聴者に影響を与え、彼の存在感を強化しています。

もう一度検索