M-CABI

ポルノグラフィティ、6枚目のオリジナルアルバム『m-CABI』

2006年11月22日、人気ロックデュオ・ポルノグラフィティの6作目となるオリジナルアルバム『m-CABI』（エム・キャビ）がSME Recordsよりリリースされました。前作『THUMPχ』から約1年半ぶりのリリースで、2005年から2006年にかけて発表されたヒットシングル「ジョバイロ」「DON'T CALL ME CRAZY」「ハネウマライダー」に加え、本作のリードシングル「Winding Road」を含む全17曲を収録した、充実の内容となっています。

アルバムタイトルとコンセプト

アルバムタイトル『m-CABI』は、“music-CABINET”（ミュージック・キャビネット）の略称であり、楽曲のおもちゃ箱という意味合いが込められています。同時に“mind-CABINET”（マインド・キャビネット）という解釈も可能で、2006年当時のポルノグラフィティの音楽性と精神性が凝縮された作品であることを示唆しています。

本作は、単なる楽曲の寄せ集めではなく、それぞれの楽曲に必然性を持たせ、アルバムとしての一体感を追求するために、独自のコンセプトが採用されました。楽曲を共通項や意味を持つカテゴリーに分類し、「キャビネット」というメタファーを用いて整理するというアイデアです。このキャビネットを仕切る役割として、4つのインターールード「m-NAVI」シリーズが配置されています。この斬新な試みは、「6枚目のアルバムだからこそ、独特の特徴を打ち出したい」「収録楽曲に強い印象を与えたい」という彼らの強い思いから生まれたものです。

初回限定盤とアリーナツアー

初回限定生産盤は、豪華なキャビネットBOX仕様で、エクストラトラックとして「NaNaNa ウィンターガール」を収録したCDが付属しました。

2007年3月からは、本作を引っ提げた自身初の全国アリーナツアー『8thライヴサーキット "OPEN MUSIC CABINET"』が開催されました。このツアーをナビゲートする楽曲として、「m-NAVI」シリーズのフルバージョンと言える「m-FLOOD」が2007年2月28日に配信限定でリリースされました。

多彩な楽曲群とサウンド

アルバムには、アップテンポなロックナンバーからしっとりとしたバラードまで、幅広い楽曲が収録されています。それぞれの楽曲は、テーマやモチーフ、サウンドプロダクションにおいて独自性があり、アルバム全体に奥行きを与えています。「m-NAVI」シリーズによって区切られた各セクションは、まるでテーマパークのように、多様な音楽体験を提供します。

例えば「乗り物・青コーナー」では、バイクをモチーフにした「ハネウマライダー」やバス、車にインスパイアされた楽曲が、それぞれの乗り物を連想させるサウンドスケープとともに展開されています。

また、「架空の人物コーナー」では、シルビア、ジェロニモ、リリーといった架空の人物をテーマにした楽曲が、それぞれのキャラクター性を反映した個性的なアレンジで聴く者を魅了します。特に「月明りのシルビア」は、アマチュア時代を彷彿とさせるこだわりのレコーディング方法で制作された、ハードロック調のナンバーとなっています。

「最後まで楽しんでコーナー」では、哀愁漂うバラード「ライン」や、ライブで披露されたインストナンバーをアレンジした「グラヴィティ」など、聴き応えのある楽曲が収録されています。「グラヴィティ」は、大サビのコーラスワークやメロディオンの演奏など、新境地を開拓した作品となっています。

さらに、初回限定盤のエクストラトラック「NaNaNa ウィンターガール」は、「NaNaNa サマーガール」の冬季版として制作され、大滝詠一へのオマージュも感じられる楽曲です。

演奏陣とレコーディング

アルバムのレコーディングには、数多くのミュージシャンが参加し、多様な楽器、サウンドが楽曲に彩りを添えています。メンバー自身もボーカル、ギター、コーラスだけでなく、ドラム、ピアノ、メロディオンなど様々な楽器を演奏し、楽曲制作に深く関わっています。

『m-CABI』は、単なる音楽作品という枠を超え、ポルノグラフィティの音楽性、創造性、そして2006年当時の彼らを映し出した、まさに集大成と言えるアルバムと言えるでしょう。その多彩な楽曲と緻密な構成は、聴く者に多様な感動と音楽的冒険を提供し続けています。

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