M102 (天体)

M102: 行方不明のメシエ天体

M102は、シャルル・メシエが作成したメシエカタログにおいて記載された天体ですが、実際にはその記載位置には存在する天体が確認できません。これは「行方不明のメシエ天体」の一つとして分類されており、21世紀の今日においてもその正体については議論が続いています。

概要

メシエカタログには、M102の他にも、記載された位置に天体が存在しない「行方不明のメシエ天体」が合計5つあります。そのうちの4つは特定されていますが、M102は現在も特定が難しく、研究者たちの間で興味を引き続ける対象となっています。

観測史

M102は1781年、ピエール・メシャンによって観測されました。しかし、メシャンはその2年後、すなわち1783年に書簡の中で「M101を見誤った」と述べ、自らの発見を否定しています。そのため、M102の存在については疑問が持たれることとなりました。メシエは、M102を「うしかい座のο星とりゅう座のι星の間にある非常に淡い星雲で、6等級の星に近接している」と記録していますが、その正確性は現在も確認が取れていません。

M102の候補

M102の正体については多くの説が提唱されています。まず、M101と重複しているという指摘があります。さらに、以下のような天体がM102の候補として挙げられています：

• - NGC 5866
• - NGC 5879
• - NGC 5907
• - NGC 5908

特に、NGC 5866はりゅう座に位置するレンズ状銀河であり、メシエカタログに記載された位置からも近いことから、有力な候補とされています。また、メシエが記述した「りゅう座のι星」という表現は「へび座のι星」の誤りであるとの説もあり、この場合、NGC 5928がM102である可能性も考えられています。

存在意義と今後

M102は、天文学の研究において興味深い課題を提供しており、未だに正体不明のままであることが、研究者たちの好奇心を刺激します。天文学の進歩に伴って、新しい観測技術や分析手法が開発される中で、もしかしたらM102の真実が解明される日も近いのかもしれません。こうした未解決の問題は、宇宙の奥深さを示す一つのポインタでもあり、天文学の楽しさの一部でもあると言えるでしょう。

まとめ

M102は、その存在が確認できないままであり、過去の観測と記録から様々な議論が生まれています。M101との重複説やNGC 5866との関連性が特に注目されており、今後の研究により新たな光が当てられることが期待されます。このように、行方不明のメシエ天体は、天文学の面白さを提供する貴重な題材であると言えるでしょう。

もう一度検索