M108 105mm自走榴弾砲

M108 105mm自走榴弾砲

M108 105mm自走榴弾砲は、アメリカ合衆国が開発した自走砲であり、戦後第二世代に分類されます。本砲は、M52 105mm自走榴弾砲の後継車両として開発が始まりました。

開発の経緯

M108の開発は1952年に開始され、当初から複数の案が検討されました。最終的に、M109 155mm自走榴弾砲と共通の車台を使用する方針となり、1954年には試作車両T195の製作がスタートしました。

1958年からはT195の試験が行われましたが、サスペンションに不具合が見つかりました。そのため、サスペンションの換装や転輪のサイズ変更などの大幅な改良が加えられ、T195E1として再設計されました。この改良型は1962年に制式化され、M108として配備が開始されました。

構造と性能

M108の車内配置は、車体前部の左側に操縦手席、右側にエンジンルームが配置され、後部には全周旋回式の砲塔を備えた戦闘室があります。搭載砲はM103 105mm榴弾砲（22.5口径）で、最大射程はM1榴弾使用時に11.5km、M548ロケットアシスト榴弾を使用した場合は15kmです。車内には87発の砲弾を搭載できます。

砲が比較的軽量であるため、砲塔の旋回や砲の俯仰角の操作は手動で行われます。そのため、発射速度は通常毎分1発ですが、短時間であれば毎分3発まで発射可能です。

運用と退役

M108は1962年に制式化されましたが、アメリカ陸軍は自走砲の主力を155mm砲装備のM109に統一する方針を決定したため、1963年には生産が終了しました。生産数は資料が残っていないため、正確な数は不明です。

アメリカ陸軍に配備されたM108の一部は、1966年からベトナム戦争に投入されました。第6野戦砲兵連隊第3大隊と第40野戦砲兵連隊第1大隊がM108を運用し、主に米軍の火力拠点に設けられた掩体壕からの支援砲撃に用いられました。全周旋回可能な砲塔は、砲撃の際に砲の向きを頻繁に変更する必要がない点で評価されました。

しかし、空輸の容易さでは牽引式榴弾砲に劣り、射程や威力ではM109に及ばなかったため、1970年代に入ると、M108はベトナムから徐々に引き揚げられました。一部は、同じくベトナム戦争に参戦していたオーストラリア陸軍に貸し出されました。

アメリカ陸軍のM108は、ベトナム戦争終結後の1975年に退役し、本国で装備から外された車両の一部は、ベルギー、カンボジア、台湾、ブラジル、スペイン、トルコ、チュニジアに輸出されました。

これらの国々でも、多くはM109などによって更新されましたが、ブラジル陸軍はM108APとして、2010年代に至るまで運用を継続しました。ベルギー軍のM108は、1980年代にM109に更新された後、余剰となった一部が1990年代にM108 VBCLと呼ばれる砲撃指揮管制車両に改造されました。

採用国

アメリカ合衆国
オーストラリア：ベトナム戦争中に米軍から貸与
ベルギー：90両
ブラジル：M108AP 72両
カンボジア
スペイン：48両
中華民国（台湾）：100両
トルコ：M108T 26両
チュニジア：48両

関連項目

M52 105mm自走榴弾砲
* M109 155mm自走榴弾砲

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