M52 105mm自走榴弾砲

M52 105mm自走榴弾砲の概要

M52 105mm自走榴弾砲は、アメリカ合衆国で設計された自走榴弾砲の一種で、戦後初の世代に属します。この兵器は、M41ウォーカー・ブルドッグ軽戦車の車体を基盤にした設計がなされ、関連するM44 155mm自走榴弾砲と並行して開発が進められました。これにより、M41軽戦車の車体を利用した一連の装甲戦闘車両としてファミリー化が図られました。

設計と開発の経緯

この自走榴弾砲は、乗員が全て砲塔内に配置され、操縦席も同じく砲塔内に設けられたことが主な特長です。砲塔は左右60度ずつの旋回能力を有していますが、全周旋回する能力はありません。この設計は、1946年に開発計画が始まり、1948年にはT98としての名称が与えられ、設計が進行しました。

さらに、T99として知られる155mm自走榴弾砲が並行して開発され、1950年には機械式計算装置を備えた照準装置が搭載された二種類の試作車両が登場しました。最終的には目視式の照準装置搭載型がT98E1として選ばれ、1951年には実用化へ向けた詳細な修正が施されました。

しかし、並行して進められていたT99の開発の難航により、T98の制式化は延期されることとなりました。その後、T99の改良型がT149として実用化されたため、T98の生産は1955年11月に“105mm Self-propelled Howitzer M52”としてようやく制式化されました。1956年には、エンジンの燃料噴射型への換装が施され、この改良された車両は“M52A1”と名付けられました。

運用と配備

M52およびM52A1は、主にアメリカ軍に供与されましたが、西ドイツやイタリアなど他の西側諸国の軍にも配備され、日本の陸上自衛隊でも運用されました。特にトルコでは、主砲をM109 155mm自走榴弾砲と同規格のものに変更し、エンジンもMTU社製のディーゼルエンジンに換装するといった近代化改修が行われました。この改修型は“M52T”と呼ばれ、21世紀に入っても運用が続けられています。1995年からは、計365両のM52Tが改修されました。

陸上自衛隊での利用

日本の陸上自衛隊では、火砲の機動性を高めるために榴弾砲の自走化が求められ、アメリカから少数のM52A1が供与されました。1966年からは、30両が導入され、北部方面隊でのみ使用されました。しかし、1977年からは75式自走155mm榴弾砲に徐々に置き換えられ、1984年には全車両が退役しました。

まとめ

M52 105mm自走榴弾砲は、アメリカの戦後初の自走榴弾砲プロジェクトとして位置付けられ、多数国に採用されるなど、歴史的な意義を持つ兵器です。特に、日本においては陸上自衛隊の戦力強化の一端を担った存在としても知られています。

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