M141 BDM

M141掩蔽壕破壊弾（SMAW-D）

M141掩蔽壕破壊弾（Bunker Defeat Munition、BDM）は、アメリカ陸軍が使用する肩撃ち式のロケット弾発射器です。この兵器は装甲化された建造物との戦闘において強力な効果を発揮するように設計されており、その多用途性から高い評価を受けています。SMAW-Dは、アメリカ海兵隊の肩撃ち式多目的強襲兵器（SMAW）を基に改良され、より陸軍のニーズに応える形で開発されました。

歴史的背景

M141の開発にあたって、アメリカ陸軍は2種類の候補を検討しました。一つはマクドネル・ダグラスが手掛けたもので、海兵隊のSMAWと同じ弾頭を使用しながらも、ロケットモーターによって発射時の噴射時間が短縮されたモデルです。もう一つはスウェーデンのFFV社が開発したもので、アメリカ海兵隊のSMAW用両用弾頭を使用した型でした。1996年にはマクドネル・ダグラスのモデルが採用され、最初に1500発が調達され、その後前線からの需要に応じて4500発の追加調達が決まりました。最終的にSMAW-Dは1999年にアメリカ陸軍に正式に配備されることになりました。
当初、アメリカ軍のBDMプログラムは予算の制約から、アメリカ海兵隊のSRAWプログラムと類似点が多すぎるため、別々に長期プロジェクトとして実施するには厳しい状況にありました。そのため、議会はBDMの調達数を6000発に制限しました。また、トラボラ作戦ではアメリカ陸軍のレンジャーがタリバンとアルカイダに対してこの兵器を使用している場面が報道されました。

設計と機能

SMAW-Dは、無反動砲の原理を利用して設計されています。その特性により、発射時にガスが後方に噴出することで発射時の反動を打ち消す構造になっています。これは市街地での使用を考える際に重要な設計要素ですが、同時に使用時にはリスクを伴います。
M141の本体は810ミリメートルの運搬モードと、発射時には長さ1400ミリメートルに変形し、取り扱いやすさを考慮しています。弾頭は対人・対装甲両用榴弾（HEDP）を採用しており、特に石造やコンクリート構造物、そして軽装甲車両に対して強力な効果を発揮します。この弾頭は最大で200ミリメートルのコンクリートや300ミリメートルの煉瓦、さらには2.1メートルの土嚢をも貫通することが可能です。

また、弾頭には「クラッシュ・スイッチ」が付いており、従来の装甲目標と非装甲目標の両方に対して使用方法を切り替えることができます。非装甲物体に命中した場合、発射体は爆発までに遅延があり、これが破壊力を増加させる要因となります。対して、装甲目標に対しては直撃後に即座に爆発します。

使用国

M141掩蔽壕破壊弾は、現在もいくつかの国で使用されています。主な使用国には、アメリカ合衆国、レバノン（レバノン陸軍レンジャー部隊）、ウクライナなどがあります。これにより、SMAW-Dの実戦的価値と、多様な戦闘環境における有用性が証明されています。

このように、M141掩蔽壕破壊弾は、特定の戦闘条件下において高い威力を発揮し、現代の戦場における重要な武器となっています。

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