M25モーターウェイ

M25モーターウェイ（ロンドン・オービタル）解説

M25モーターウェイ、通称ロンドン・オービタルは、イギリスの首都ロンドンを取り囲むように建設された、全長117マイル（188km）の環状高速道路です。20世紀初頭に構想が浮上し、1975年に最初の区間が開通、1986年に全線開通しました。世界でも有数の長さを誇る環状道路であり、同時に、イギリスのモーターウェイ網において最も交通量が多く、渋滞が頻発する区間として知られています。

概要

当初は片側3車線として計画・建設されましたが、交通量の増加に伴い、ほとんどの区間が4車線に拡幅されました。特に、ジャンクション12から14の間は片側5車線、ジャンクション14から15の間は6車線に拡幅されています。現在も、高速道路の維持・管理計画に基づき、さらなる拡幅工事が進行中です。

ただし、M25は完全に連続した環状線ではありません。ロンドンの東部、サロックとダートフォードの間には、テムズ川を渡るために有料の一般道区間（A282）が存在します。これは、2本のトンネルとQE2（クイーン・エリザベス2世）橋からなるダートフォード・クロッシングと呼ばれ、通行には車種に応じた料金が必要です。この区間を高速道路に編入すると、ウーリッジ・フェリー以東のテムズ川を渡る際に、歩行者や自転車などの通行が許可されなくなるため、一般道として管理されています。

Sevenoaks付近のジャンクション5では、環状線を走行し続けるためには、ランプを通行する必要があります。反時計回りの車線はM26を経由してM20に接続し、東へ延びています。一方、時計回りの車線は、南の海岸へ向かうA21に接続しています。

ロンドン中心部（チャリング・クロス）からの距離は、ポッターズ・バー付近で約12マイル（19km）、バイフリート付近で約20マイル（32km）と、場所によって異なります。インフィールド、ヒリングドン、ハヴァリングなど、一部の地域ではM25を基準にグレーター・ロンドンの境界線が変更されており、エセックスとサリーの境界変更は比較的広範囲に及んだため、よく知られています。エプソム、ワトフォード、ラフトンなどの主要な町は環状線の内側に位置し、ノース・オッケンドンはグレーター・ロンドンで唯一、環状線の外側に位置しています。口語表現として「Inside the M25」「outside the M25」「beyond the M25」は、ロンドンとその周辺地域を指す際に用いられます。

サービスエリアと照明

M25には、北部（ジャンクション23 サウス・ミムズ）、南東部（クラッケット・レーン）、東部（サロック）の3ヶ所にサービスエリア（SA）が設置されています。2012年にはCobham付近に4つ目のSAが新設される予定です。

また、交通事故防止のため、M25の大部分の区間には道路照明が設置されています。照明の種類は様々で、高圧ナトリウム灯（NH）が主流ですが、一部区間では旧式の低圧ナトリウム灯（NX）が使用されています。近年、ジャンクション5、ヒースロー周辺のジャンクション、ジャンクション27の区間ではNH型照明への更新が行われました。

警察管区と交通量

M25は複数の警察管区を横断しており、各区間ごとに担当する警察機関が異なります。高速道路上の交通警察任務は、ロンドン、テムズ・ヴァレー、エセックス、ケント、ハートフォードシャー、サリーの6つの警察から構成される合同警察隊によって実行されています。

M25は欧州で最も混雑する高速道路の一つであり、2003年にはジャンクション13と14の間、ロンドン・ヒースロー空港付近で1日あたり196,000台の交通量を記録しました。

今後の展望

M25は、ロンドンおよびイギリス経済にとって重要なインフラであり、交通量の増加に対応するための拡幅や改良工事が継続的に行われています。今後の計画では、スマート・モーターウェイ技術の導入や、より効率的な交通管理システムの導入などが検討されています。

もう一度検索