M71 (天体)

M71 (NGC 6838)

M71は、や座に位置する球状星団です。この天体は、その構造上の特徴から、かつて天文学者の間でその分類について活発な議論が交わされました。典型的な球状星団と比べ、M71は構成する星が比較的まばらで、明確な球状に密集していないように見えたためです。20世紀半ば頃まで、一部の天文学者はM71を散開星団と見なす意見を持っていました。著名な天文学者であるハーロー・シャプレーは、M71を「最も密集した散開星団」としてカタログに載せていました。

インディアナ大学カークウッド天文台のジェームズ・カフィーも、M71の研究に貢献しました。彼は当初、M71をM68のような、あまり集中度の高くない球状星団の一つと考えていました。しかし、1959年に行われたM71の色-等級図の分析により、その特徴が散開星団に似ていることを発見しました。このような研究の進展を経て、現在ではM71は星の集中度が非常に低い、特異なタイプの球状星団であるという見解で一致しています。

観測時の見え方

M71を観測する際の見え方は、使用する望遠鏡の性能によって大きく異なります。双眼鏡を用いると、M71はわずかに広がった、ぼんやりとした丸い光のしみのように見えます。これは星団全体の光が一つにまとまって見えるためです。

口径が8センチメートル程度の望遠鏡を使うと、星団を構成する個々の微かな星がいくつか見え始め、星団の輪郭がより明確になってきます。アメリカのアマチュア天文家ジョン・マラスは、口径10センチメートルで観測した際に、M71が楕円形に見え、明るい部分がV字型になっていると記録しています。また、ザゴーは3.75インチ（約9.5センチメートル）の屈折望遠鏡40倍では星に分離して見えないが、8インチ（約20センチメートル）150倍では10個ほどの星が見えると述べています。

口径20センチメートルクラスの望遠鏡を使用すると、M71の中心部が球状に集まっている様子が捉えられます。さらに口径30センチメートルになると、中心部はまだ完全に個々の星に分解するのは難しいものの、周辺部は多くの星に分離され、見事な眺めとなります。口径が40センチメートルを超える大型望遠鏡を使用することで、M71全体を構成する星々が完全に分離して観測できるようになります。

観測の歴史

M71は、1745年から1746年にかけて、スイスの天文学者ジャン＝フィリップ・ロワ・ド・シェゾーによって初めて発見されました。その後、1772年から1779年の間に、ドイツのヨハン・ゴットフリード・ケーラーも独自にこの天体を発見し、「非常に青白い星雲状の光斑」と記録しています。イギリスのジョン・ハーシェルは、M71を「たいへん大きく、星数が非常に多い」と記述し、構成する星の明るさが11等から16等であることを指摘しました。

写真観測を行ったロベールは、M71の像を見て「星が曲がりくねって連なっており、まるで渦巻銀河（当時は渦状星雲と呼ばれた）に似ている」と感じたと記しています。さらに彼は、周囲に見られる17等以下の暗い星々が描く曲線も、渦状の運動によって形成されたのではないかという推測を加えています。これらの初期の観測記録からも、M71が典型的な球状星団とは異なる、興味深い構造を持っていることがうかがえます。

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