M79 グレネードランチャー
M79 グレネードランチャー
M79 グレネードランチャーは、40mmの擲弾を発射するための銃器で、その外観は大口径の散弾銃によく似ています。主に40x46mm弾薬を使用し、榴弾、対人榴弾、散弾、発煙弾など多岐にわたる弾薬を発射します。また、暴動鎮圧用として非致死性のM651催涙弾やゴム弾を用いることも可能です。この銃器は高低圧理論を採用しており、反動が抑えられているため、肩付けでの安定した発射が可能です。
アメリカでは、M79は「Thump-Gun（サンプガン）」、「Thumper（サンパー）」、「Blooper（ブルーパー）」などの呼称で親しまれています。特にベトナム戦争での活躍が有名で、戦争後はM203 グレネードランチャーに主力が移行しましたが、一部は今なお現役で稼働しています。製造はアメリカのコルト社が担当し、韓国の大宇や南アフリカのミルコウなどもそのコピー品を作成しています。さらに、ベトナムでは光学照準器を装備したM79-VNも生産されています。
構造
M79は単発式で肩撃ちが可能な設計です。銃身とストックは蝶番でつながっており、使用者は後部から弾薬を装填または抽出します。安全装置は手動式で、弾薬を装填すると自動的に作動します。この安全設計により、誤射の可能性が低減されています。特筆すべきは、トリガーガードが蝶番で横に折れることで、冬季に手袋を使う際にも便利です。また、木製の銃床には反動を軽減するためのゴムパッドが付いています。
全長は約74cmで、装填時の重量は約3kgです。照準器は中央に折りたためるデザインで、併用することで仰角40°以上の曲射砲として使うこともできます。このように、射撃時は最大375mからの距離を狙うことができ、立てた状態での精密射撃も可能です。しかし、M79の最大の欠点とされるのは単発式である点で、同時に多数の弾薬を発射する迫撃砲としての効果が薄いことです。さらに、弾頭の信管は一定距離を飛行しないと作動しないため、至近距離での攻撃が難しいこともあります。
歴史
M79は1961年からアメリカ陸軍に正式に導入され、1971年までに約35万丁が製造されました。その開発は1951年から始まったNIBLICK計画に基づいており、これは40mm弾薬を使って歩兵の近接支援を図るためのものでした。その後、M79はUGLs（銃身下擲弾発射機）としての需要を生み出し、XM148 や M203などのモデルが開発されました。
軽量で操作が簡単なM79は、特にベトナムの密林地帯での使用に適していました。また、イラク戦争ではIEDの処理にも使用されたことがあります。警察でも、非致死性の弾薬を使用するためにM79が採用されるケースがあり、その多様な使用法に注目が集まっています。
採用国
M79はアメリカ合衆国をはじめ、イスラエル、エルサルバドル、オーストラリア、サウジアラビア、韓国、トルコ、マレーシア、南アフリカ共和国などにも採用されました。
関連項目
- - 擲弾発射器
- - 高低圧理論
外部リンク
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