M82 (天体)

M82、別名NGC 3034は、おおぐま座に位置する不規則銀河です。地球からの距離は約1200万光年とされています。

概要

双眼鏡では、M82は小さくぼんやりとした光の点として認識されます。しかし、口径5cm程度の望遠鏡を使用すると、その細長い形状を捉えることが可能です。さらに、口径6cmの望遠鏡では、銀河の周辺部の凹凸や、片側が明るく輝いている様子が観察できるようになります。中心部の複雑な構造も、この程度の望遠鏡で十分に楽しむことができます。10cm程度の屈折望遠鏡を使用すると、その複雑な構造はさらに際立ち、宇宙の多様性を感じさせてくれます。M81の丸い形状とは対照的で、その独特な形状から「葉巻銀河」という愛称で呼ばれることもあります。

M82は、M81とともにM81銀河団に属しており、お互いの中心核はわずか15万光年しか離れていません。この近接した関係が、M82の独特な特徴を生み出す要因となっています。数千万年前、M81とM82は接近遭遇し、M82は巨大なM81の重力の影響を受けて大きく変形しました。この相互作用が、M82をスターバースト銀河へと変化させたと考えられています。

M82は、M81との近接遭遇によって活発な星形成活動（スターバースト）が引き起こされている銀河です。その中心部からは、電離した水素ガスが極方向に向かって噴き出しており、これは「スーパーウィンド」として知られています。この現象は、M82が非常に活発な活動をしている証拠と言えるでしょう。

チャンドラX線観測衛星による観測では、M82の中心部から600光年離れた場所からX線が検出されました。このX線源は、太陽の約500倍の質量を持つ中型ブラックホールであると考えられています。M82は、その活発な星形成活動だけでなく、中心部に潜むブラックホールの存在によっても注目を集めています。

観測史

M82は、1774年にヨハン・ボーデによってM81と同時に発見されました。ボーデは、M82を「青く楕円形の星雲状の光斑」と記録しています。1781年には、シャルル・メシエがM82を観測し、「星のない星雲で、M81に先行し、M81ほどはっきりしない。望遠鏡で同じ視野に見える。端に微星があり、微かで全体が伸びている」と述べています。ジョン・ハーシェルは、M82を「非常に大きく明るく、腕が出ている」と記しており、スミスは「長くて狭く、北端が明るく、M81より青白い」と観察しています。1871年には、ロス卿が「ボーデの星雲。奇妙に曲がりくねった腕がある」と記録しています。これらの観測記録は、M82が古くから天文学者たちの注目を集めていたことを示しています。

画像

(画像は省略)

出典

(出典は省略)

関連項目

* SN 2014J

M82は、その独特な形状、活発な星形成活動、そして中心部に潜むブラックホールなど、多くの興味深い特徴を持つ天体です。天文学者たちは、M82の研究を通じて、銀河の進化や宇宙の構造についてより深く理解しようと努めています。

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