MBR-7 (航空機)

ベリエフ MBR-7

ベリエフ MBR-7は、ソビエト連邦においてタガンログのベリエフ設計局によって設計された短距離偵察および爆撃を目的とした飛行艇です。時にはMBR-7ではなくMS-8とも呼ばれることがあります。この機体は、先行するMBR-2飛行艇の後継となるべく開発が進められました。

開発の背景と経緯

MBR-7の開発は、ソビエト海軍の要求に基づき、既存のMBR-2に代わる、より高性能な飛行艇を目指して開始されました。MBR-2と同様の基本的な形態を踏襲しながらも、MBR-7は随所に改良が加えられた先進的な設計が特徴でした。最初の試作機は1937年に初飛行を果たしました。

機体構造と特徴

MBR-7は、主に木材で構成されたカンチレバー式の単葉飛行艇でした。主翼は胴体上部に配置された高翼（肩翼）形式で、エンジンはこの主翼の上面に設けられた支柱を介して搭載されていました。プロペラは推進式ではなく牽引式でした。

搭乗員は2名で構成され、機首の密閉されたコックピットにはパイロットが搭乗しました。パイロットは機体に固定された前方発射式の機関銃を操作することが可能でした。観測員兼砲手は、胴体後方、ガラス張りの天蓋の下に配置された席に座りました。観測員が操作する武装についての詳細は明確ではありませんが、砲手としての役割が付与されていました。

高性能と生産中止

MBR-7は、飛行試験において良好な性能を示しました。しかし、この機体に搭載される予定だったクリーモフ M-103エンジンの供給が不足するという問題に直面しました。当時のソビエトでは、より多数の機体でこのエンジンの需要があり、生産体制が追いついていなかったためと考えられます。

その結果、性能的には優れていたMBR-7であったにもかかわらず、政府および軍部はエンジンの供給が安定しており、かつ既に量産体制が確立されていた旧式のMBR-2の生産を継続することを決定しました。この決定により、MBR-7は試作段階に留まり、本格的な量産や部隊配備には至りませんでした。

運用国は、開発国であるソビエト連邦（ソビエト海軍）のみですが、実際に運用されたのは試験飛行の段階に限定されます。

技術仕様

以下は、ベリエフ MBR-7の主要な諸元です。

乗員: 2名 (パイロット、観測員/砲手)
全長: 10.6メートル
全幅: 13.0メートル
翼面積: 13.0平方メートル
パワープラント: クリーモフ M-103 V-12 液冷ピストンエンジン 1基 (出力 710 kW / 950 hp)
最高速度: 時速 300キロメートル
航続距離: 1,215キロメートル
実用上昇限度: 8,500メートル
武装: 固定機関銃
爆弾搭載量: 最大 500 kg

ベリエフ MBR-7は、技術的にはMBR-2を凌駕する可能性を秘めた機体でしたが、外部要因、特にエンジン供給の課題によってその開発が中断された、ソビエト航空史における興味深い一例と言えます。

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