MBus

MBus: 高速コンピュータシステム用バス規格

MBusは、サン・マイクロシステムズによって設計・実装された、高速コンピュータシステムの内部コンポーネント間通信のためのコンピュータバスです。特に、CPU、マザーボード、メインメモリ間の高速データ転送を目的として開発されました。一方、SBusは、同じコンピュータ内のマザーボードと拡張カードを接続するために使用されました。

MBusの初期と発展

MBusは、初期のSPARCベースのマルチプロセッサシステム、例えばSPARCserver-690などで初めて採用されました。その後、1980年代後半には、SPARCstationシリーズなどのSPARCベースのワークステーションにも広く利用されました。このバスの特徴は、1つのマザーボード上に複数のマイクロプロセッサを搭載できる点にありました。

例えば、SPARCstation 10やSPARCstation 20では、CPUを搭載した取り外し可能なMBusモジュールを使用することで、最大8CPUまでのマルチプロセッサ構成が可能でした。シングルプロセッサシステムでも、内部的にはMBusプロトコルを使用していましたが、コスト削減のため、CPUはマザーボードに直接実装されることが一般的でした。

MBusの技術仕様

MBusの仕様は64ビットのデータ幅を持ち、36ビットの物理アドレスを使用することで、最大64GBのアドレス空間をサポートしていました。データ転送速度は、標準で80MB/秒、最大で320MB/秒でした。バスの制御はアービタによって行われ、割り込み、リセット、タイムアウトなどの機能も仕様に組み込まれていました。

MBus関連のバス規格

MBusの発展に伴い、関連するいくつかのバス規格も開発されました。XBusは、パケット交換型のバスで、回路交換型のMBusに対応するために開発されました。XBusはMBusと同じ電気的特性と物理的な形状を持っていますが、信号プロトコルは互換性がありませんでした。また、KBusは、複数のMBusを接続するための高速接続システムとして開発され、Solbourne Series 6とSeries 7で使用されました。

MBus採用メーカー

MBusを使用したコンピュータシステムを生産したメーカーは多岐にわたり、以下のような企業が挙げられます。

サン・マイクロシステムズ
ROSS Technologies
ヒュンダイ/Axil
富士通
Solbourne
Tatung
GCS
Auspex
ITRI
ICL
クレイ
アムダール
テミス
DTK

まとめ

MBusは、当時のコンピュータシステムのパフォーマンス向上に大きく貢献した重要なバス規格です。その高速なデータ転送能力とマルチプロセッサ対応能力は、ワークステーションやサーバーの発展を支えました。関連規格や採用メーカーの多様性からも、その影響力の大きさが伺えます。

外部リンク

The rough guide to MBus modules, at sunhelp

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