拡張カード

コンピュータの機能拡張：拡張カードの役割

コンピュータの機能を拡張するために用いられるのが、拡張カードです。これは、小型のプリント基板を内蔵したカード型アダプターであり、マザーボードに装着することで、コンピュータの能力を強化します。ビデオカード、サウンドカード、ネットワークカードなど、多様な種類が存在し、それぞれが特定の機能を提供します。

拡張カードの種類と機能

拡張カードは、コンピュータにさまざまな機能を追加するために使用されます。代表的な例として、以下のような種類があります。

ビデオカード（グラフィックカード）: 高解像度での画像表示や3Dゲーム処理を高速化します。近年は、高性能なGPUを搭載したものが主流となっています。
サウンドカード: 高音質なサウンド出力や、サラウンドサウンド環境を実現します。マザーボードにサウンド機能が内蔵されている場合でも、より高度な機能を求めるユーザーはサウンドカードを追加します。
ネットワークカード: ネットワークへの接続を可能にします。有線LAN接続用のカードと無線LAN接続用のカードがあります。
RAIDカード: 複数のハードディスクドライブをまとめて、データの冗長化や高速化を実現します。
ファイバーチャネルカード: 高速なデータ転送を必要とするストレージデバイスとの接続に使用されます。
TVチューナーカード: テレビ放送の受信を可能にするカードです。アナログ放送やデジタル放送に対応したものが存在します。
ビデオキャプチャーカード: ビデオカメラなどの映像をコンピュータに取り込むためのカードです。

拡張カードの接続と使用方法

拡張カードは、マザーボード上の拡張スロットに装着して使用します。拡張スロットは、拡張バスと呼ばれるインターフェースを介してマザーボードと接続されており、PCI、PCI Express、AGPなど、いくつかの標準規格が存在します。

拡張カードを使用するには、通常、対応するデバイスドライバをインストールする必要があります。デバイスドライバは、拡張カードがコンピュータで正しく動作するために必要なソフトウェアです。また、グラフィックカードの解像度設定や、ネットワークカードのIPアドレス設定など、動作パラメータを設定する必要がある場合もあります。

拡張バスの種類

拡張カードを接続するためのインターフェースである拡張バスは、コンピュータの歴史とともに様々な種類が登場しました。代表的なものとして、以下のものがあります。

PCI (Peripheral Component Interconnect): 長年広く使用されてきた標準規格
PCI-X: PCIの後継規格で、より高速なデータ転送速度を実現
PCI Express: PCI-Xの後継規格で、さらに高速なデータ転送速度と柔軟な帯域幅を実現
AGP (Accelerated Graphics Port): グラフィックカード専用のインターフェースとして開発
ISA (Industry Standard Architecture): 古い規格だが、一部のシステムでは依然として使用されている
* その他: NuBus、VMEバス、各種独自規格など、プラットフォームによって様々な規格が存在した。

近年では、マザーボードに多くの機能が統合されるようになり、サウンドカードやネットワークカードなどを別途装着する必要性は減ってきました。しかし、高度な機能や拡張性を求めるユーザーにとって、拡張カードは依然として重要な役割を果たしています。

拡張ユニットと拡張ボックス

初期のパーソナルコンピュータでは、拡張スロットがマザーボードに直接搭載されていないものが多くありました。そのような場合、拡張ユニットや拡張ボックスと呼ばれる外部機器を接続して機能拡張を行う必要がありました。これらの機器は、コンピュータ本体と拡張バス線で接続され、さらに周辺機器を接続するための拡張スロットが搭載されていました。現代のコンピュータでは、これらの機器はほとんど使用されなくなりましたが、コンピュータの歴史を知る上では重要な要素です。

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